SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」~【ライオン株式会社】オーラルケアから社会や環境課題に取り組む活動~
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SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」~【ライオン株式会社】オーラルケアから社会や環境課題に取り組む活動~

歯みがき行動は、全身の健康と密接に関係しており、人が本来持っている“健やかに生きる力”を引き出し、育む、非常に重要な習慣です。SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」(Goal 3: Good Health and Well-Being)における『健康』を達成するために、ライオン株式会社がオーラルケアを通じて、 社会や環境課題に取り組んでいく活動をご紹介します。

SDGs目標3は「すべての人に健康と福祉を」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?



国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
3.1 2030 年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10 万人当たり70 人未満に削減する。
3.2 すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000 件中12 件以下 まで減らし、5 歳以下死亡率を少なくとも出生1,000 件中25 件以下まで減らすことを目指し、2030 年までに、新生児及び5 歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.3 2030 年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.4 2030 年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3 分の1 減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
3.6 2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
3.7 2030 年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスをすべての人々が利用できるようにする。
3.8 すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・ カバレッジ(UHC)を達成する。
3.9 2030 年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
3.a すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定 (TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
3.c 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
3.d すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。
今回の記事では、全身の健康と密接に関係している「歯磨きの習慣=オーラルケア」を通じて、社会や環境課題に取り組んでいくライオン株式会社の活動をご紹介します。
ライオン株式会社は、オーラルケア機会の格差是正を目的としたサステナビリティ重要課題への事業アクション「インクルーシブ・オーラルケア」の推進を2021年より開始し、子どもたちの自己肯定感の向上に貢献する「おくちからだプロジェクト」および「サステナブルなミント生産の仕組み」の実現を目指す活動を開始しています。
「インクルーシブ・オーラルケア」とは

歯みがき行動は、全身の健康と密接に関係しており、人が本来持っている“健やかに生きる力”を引き出し、育む、非常に重要な習慣です。しかし、その人を取り巻く生活環境、身体、経済、教育、情報などの様々な状況により、オーラルケアの実施には格差が生じ、歯と口のケアが十分にできない人がいます。

オーラルケア習慣の促進だけではなく、SDGsの概念に則り、オーラルケアを通じて、社会や環境課題に取り組んでいく活動が『インクルーシブ・オーラルケア(オーラルケアが、人と社会にできることを。)』です。

展開していく取り組みは、3つのクレド(行動指針)に基づいて企画し、持続可能な形として実行していきます。

子どもたちの食を支える「こども食堂」や「こども宅食」を通じ、「歯と口の健康」をテーマにした体験プログラムを開発し、子どもたちの自己肯定感の向上に貢献する取り組みです。

貧困とむし歯の相関性

昨今、日本の子どもの貧困問題が深刻化しています。子どもの7人に1人が相対的貧困状態であると言われており、特に、一人親世帯の貧困率はOECD諸国の中でワースト1位という結果です。生活困窮世帯は、そうでない世帯に比べ、子どものむし歯が多い傾向にあることが分かっています(左図参照)。

さらに、経済的困窮家庭で育った子どもたちは、そうでない子どもたちと比べ、他者から褒められること、親以外の大人とのコミュニケーションをとることや、歯みがきなどのライフスキルの獲得体験が不足しており、自己肯定感が著しく低いことが特徴と言われています。

本取り組みでは、様々な環境下の子どもたちに、楽しく学びながらオーラルケア習慣の重要性を感じられるよう、ダンスやクイズなど非認知能力を高めるコンテンツを展開しています。

「おくちからだプロジェクト」の紹介動画

おくちからだプロジェクトのきっかけとなる社会的背景から、オリジナルに開発したコンテンツを実際に子どもたちが体験しているシーンをまとめた動画を制作。声の出演は女優の上戸彩さんが務めました。

こども食堂でダンスをする子どもたち

※動画はインクルーシブ・オーラルケアウェブサイトからご覧いただけます。

《出演協力》

■ 声の出演:上戸 彩
■ 認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長 湯浅 誠
■ 認定NPO法人フローレンス代表理事 駒崎 弘樹
■ 一般社団法人カナカナ 代表理事 仲本 かなえ

ライオンのハミガキには、香料として世界各地で生産される上質な天然のミントを採用されています。その中でも、「和種ハッカ」というインドを最大の生産地とするミントは、ハミガキの香味を完成させるのに大切な香料です。その和種ハッカを、厳しい審査を通った認証ミントに切り替えます。

使用する和種ハッカを「認証ミント」に!持続可能な生産環境を構築

ライオンは、ハミガキに使用する天然ミントの味にこだわりを持っており、その一部をインドから輸入しています。インド産の「和種ハッカ」は、程よい苦みとすっきりとした香味が特徴です。2021年6月から、持続可能な農業経営を支える「SAI※2」が認証するミントに切り替えています。『デンタークリアMAX』を始めとして、2022年までに和種ハッカを配合している8つのハミガキブランドに拡大予定です。

しかしながら、インドでのミント生産は、すべてが持続可能な生産環境で行われているわけではありません。この認証ミントを生産できるのは、厳しい審査に通った農家に限られており、現状では持続可能な労働条件や生産条件などが整えられた「認証農家※3」は不足しています。

ライオンは、SAI認証を受けたミントを調達・継続購入することで、認証取得を目指す農家の拡大を促進しています。インドの香料会社を通じてその取り組みの意義を伝え、実地研修等のサポートをしていくことで、持続可能な生産の仕組みを実現していきます。インドの認証農家の数を2022年までに2021年現在の5倍に増やすことを目標としています。

※1: 認証ミント:
SAIプラットフォームが提供する、経営・環境・労働・生産に関する条件が揃い、FSA(Farm Sustainability Assessment)の認証を受けた「認証農家」が生産するミント。127の質問回答によって認証格付けしている。

※2:Sustainable Agriculture Initiative:
ユニリーバ、ダノン、ネスレが設立した、持続可能な農業サプライチェーンを支えるプラットフォーム。

※3:認証農家になるための条件の代表例
・労働者の人権が守られている。 ・近代的な農法により収穫率が高い。
・畑を整備し水の使用量を削減できている。 ・環境に悪影響を与えるような肥料は使用しない。
・定常的にトレーニングが行われている。 ・労働者に対し差別なく賃金が支払われている。

認証ミントの紹介動画

ライオンは、持続可能な認証ミントの生産環境を構築するためには、SAI認証取得を推進していく仕組みの構築が必要だと考えています。動画では、インドのミント生産農家や香料会社から「認証ミント」の取り組みへの期待がコメントされています。

※動画は、インクルーシブ・オーラルケアウェブサイトからご覧いただけます。

1896年に、粉ハミガキ「獅子印ライオン歯磨」を発売して以来、120年以上にわたって当社は口腔衛生啓発活動を脈々と続けています。1932年には、正しい歯みがき方法の指導のために「学童歯磨教練体育大会」を開始し、現在は「全国小学生歯みがき大会」として、小学生に歯と歯ぐきの大切さやセルフケア方法などを学んでもらう機会を提供しています。今年で78回目を迎え、アジアにも展開しています。

また、「歯みがき相談室」を実施し、妊娠中の歯のケアや、子どもの歯が生えてくるころの「はじめての歯みがき方法」についてなど、子育て中の保護者の悩みに歯科衛生士が答える機会を提供したり、生涯にわたり「噛む力」「飲み込む力」などのお口の機能(口腔機能)の保持・増進に繋がるよう、手軽に出来る「かみかみゴクゴク」体操を作成するなど、幅広い世代に向けて「オーラルケア」の取り組みを広めています。

その他にも、正しい知識を身につけ、歯のトラブルを防いで管理する「予防歯科の習慣化」の普及啓発や『ハブラシ・リサイクルプログラム』、『清潔衛生習慣の定着への取り組み』などさまざまな活動をしています。
・ライオン株式会社
https://www.lion.co.jp/
・「インクルーシブ・オーラルケア」スペシャルサイト
https://www.lion.co.jp/ja/csr/inclusiveoralcare/
・フローレンス、 むすびえ、 ライオンが、 経済的格差によらない歯と口と身体に関する健康サポート事業「インクルーシブ・オーラルケア」に関する協定を締結
https://www.lion.co.jp/ja/company/press/2021/3469