フランス貿易投資庁-ビジネスフランス サステナビリティ経営を促進  【前編】東レによるプラスチックリサイクル事業
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フランス貿易投資庁-ビジネスフランス サステナビリティ経営を促進【前編】東レによるプラスチックリサイクル事業

2023年6月5日、フランス貿易投資庁-ビジネスフランス主催「対仏投資結果発表 記者会見」が行われました。本記事では、フランスからの投資により実現した「東レ」のプラスチックリサイクル事業について紹介します。

2023年6月5日、フランス大使館にて、フランス貿易投資庁-ビジネスフランスが主催する「対仏投資結果発表 記者会見」が行われ、2022年対仏投資結果が発表されました。
この投資は、エコロジーやカーボン・ニュートラルといったサステナビリティ経営を促しており、事例として東レ株式会社(以下、東レ)と伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠)が登壇。フランスからの投資により実現したプロジェクトについて語りました。本記事では、東レのプラスチックリサイクル事業について紹介します。

フィリップ・セトン駐日フランス大使の開会挨拶を皮切りに、ビジネスフランス 日本・北東アジア地域代表 ティボー・ファーブル 氏、上席投資 広報担当官 オドレー・ルクベルネ氏が登壇し、直接投資先魅力度4年連続ヨーロッパ首位となったフランスが、1,725件の新規投資プロジェクトにより(前年比7%増)、58,810人の雇用を創出したことを発表しました。

フランスに進出している外資系企業は現在16,900社を超え、220万人の雇用を生み出しており、日本は対仏投資で世界11位、アジアでは首位。投資先として特に重要視され、日本企業対仏投資案件は同年41件に上り、前年比14%となる1,158人の国内雇用創出につながっています。

日本企業に対する投資事例とし、東レよりプラスチックリサイクル事業、伊藤忠商事より太陽光パネルリサイクル事業について紹介されました。
東レ株式会社 上席執行役員 フィルム事業本部長 井辻 和久氏、Toray Films Europe社 副社長 長尾 俊哉氏が登壇し、フランスでのプラスチックリサイクル事業について語りました。

【東レ サステナビリティ経営に関する4つの課題】

「東レは現在29ヵ国で事業を運営しており、従業員は約5万人、売上高は約2兆5,000億円となります。我々のサステナビリティ経営の課題は“気候変動対策の加速” “循環型資源利用と生産への貢献” “医療の充実と公衆衛生の普及促進” “安全な水と空気を送り届けること”の4つです。
私が担当するフィルム事業は機能化製品セグメントに属し、昨年の売上高は3,215億円でした。本日は、世界9ヵ国の生産拠点のうちの一つであるフランス・リヨン市におけるケミカルリサイクルへの取り組みを紹介させていただきます。
フィルムは、ペットポリエステルフィルム(年間販売数:4万5,000トン)とOPPフィルム(年間販売数:1万9,000トン)があり、スマートフォンのディスプレイや電子部品、自動車、リチウムイオンバッテリー、包装材料など日常生活の様々な分野で使用されています(東レ 井辻氏)。」

「Toray Films Europeは1929年より、ポリエステルフィルム原料のペットのポリマーを生産しています。昨年、ヨーロッパでは“プラスチックのリサイクル素材を2030年に30%、2040年に65%にする”よう発令されました。しかし、現在のリサイクル素材は25%にとどまっています。先進的なケミカルリサイクルのペット樹脂がなければ、リサイクル率の向上を実現することができません。

そこで東レはフランスからの投資を受け、新たなケミカルリサイクル製品を、フランス国立エネルギー研究所・IFP社の傘下であるアクセンス社と共同開発しました。
現在リサイクルペットを作るには、メカニカルリサイクルという技術が使われていますが、ポリマーの劣化や原料の確保に課題があります。新技術では、色付きのペットボトルなどの様々なポリエステル製品を高品質なペット樹脂でリサイクルすることが可能になります。また、従来は原料が100%のペットでないとリサイクルができませんが、新技術では、90%であればリサイクルできます。この事業は、フランス政府の傘下であるアデム(Ademe)の助成金も期待され実現の見通しです(Toray Films Europe社 長尾氏)。」

東レのフィルム工場はフランスだけでなく、アメリカ、マレーシア、中国、日本、韓国など世界15ヵ国に工場があり、フランスの成功に習って拠点を増やす計画があるそうです。

ヨーロッパはサステナブル先進国と言われ、20年前からサステナブル事業を展開しています。普段から馴染みのあるプラスチックのリサイクル問題。他国からの投資により日本がもつ高度な技術がより強化され、サステナビリティ経営を促進している一例として紹介しました。

フランス貿易投資庁-ビジネスフランスサステナビリティ経営を促進【後編】伊藤忠商事による太陽光パネルリサイクル事業
2023年6月5日、貿易投資庁-ビジネスフランス主催「対仏投資結果発表 記者会見」が行われました。本記事では、本記事では、伊藤忠商事の太陽光パネルリサイクル事業について紹介します。
 
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標 17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

資金
17.1 課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。
17.2 先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対する ODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA 供与国が、少なくとも GNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。
17.3 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。
17.4 必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。
17.5 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。

技術
17.6 科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。
17.7 開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。
17.8 2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。

能力構築
17.9 すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。

貿易
17.10 ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めたWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。
17.11 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。
17.12 後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、すべての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。

体制面
政策・制度的整合性
17.13 政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。
17.14 持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。
17.15 貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。

マルチステークホルダー・パートナーシップ
17.16 すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

データ、モニタリング、説明責任
17.18 2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。
17.19 2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。