「はじめてのとよた」
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トヨタ三重宮川山林の間伐材から誕生した乳幼児向けの木製玩具「間伐材モビリティ」が完成!

トヨタ自動車株式会社は、多様な恵みをもたらす森林生態系を守るため「トヨタ三重宮川山林」の間伐材を活かして使うプロジェクト「はじめてのとよた」にて乳幼児向けの木製玩具「間伐材モビリティ」を制作しました。

トヨタ自動車株式会社は、多様な恵みをもたらす森林生態系を守るため「トヨタ三重宮川山林」の間伐材を活かして使うプロジェクト「はじめてのとよた」コンセプトを考えました。
今回、1歳から3歳の子どもを育てる親を対象に「木製玩具のお悩み」実態調査を実施。その調査結果を踏まえて、トヨタ自動車「ビジョンデザイン部」と同社 有志技術団体「トヨタ技術会」 がそれぞれの視点から製作しました。子どものものづくりの好奇心を刺激しながら、成長に合わせて形を変えたり、使わなくなったら室内インテリアとして思い出を飾ることを想定した「間伐材モビリティ」です。
また、間伐材が使われないことで山の手入れが進まない課題に対して、木を使ったモビリティから、環境問題への貢献を目指します。さらに、木材を通して子どもを育む「木育」という教育目線の監修として木製玩具デザインを専門とする桜美林大学 林秀紀准教授に、調査結果を受けてのコメントや「木製玩具」におけるデザインの重要性などを語っていただきました。



トヨタ自動車株式会社は、ブラジルのリオで地球サミットが開催されたのと同じ年の1992年から愛知県豊田市にある「トヨタの森」で里山保全を開始。これまで30年間、自然環境の保全活動に取り組んでいます。取り組みの1つであるトヨタ三重宮川山林ではスギやヒノキの人工林の間伐を行っており、山から出る間伐材を活用するため、新たなプロジェクト「はじめてのとよた」を立ち上げました。
トヨタはモビリティカンパニーとしてのアイデアや技術、デザイン力を活かし、乳幼児向けの木製玩具「間伐材モビリティ」を考えました。プロジェクト名「はじめてのとよた」に込めた想いは、その乳幼児にとって「はじめて」の安全かつ長きに渡り、愛されるモビリティを提案したいというトヨタの想いです。トヨタの技術とデザインの結集によって、環境保護と社会貢献に対する取り組みを強化し、子どもたちとその家族に価値を提供していきたいと考えています。



■ 調査結果(1歳から3歳の子どもを育てる親を対象に“木製玩具のお悩み” 実態調査)
<SDGsや環境に配慮した玩具を使わせたいと答えた親は70.3%>
子どもが使う玩具に対して、環境に配慮した玩具の使用を望む親は全体の70.3%にも上り、教育においてもサステナブルに対する意識が高い親の意見が散見された。
また、モビリティに対する様々なお悩みが浮上する中で、「こどもの成長が早く、玩具の適用期間が短いことを気にしている」という事実も明らかに。
さらに、「乗り物 木製玩具にデザイン性を求めるか」という問いに対して、求めると答えた親の割合は71.0%、乗り物 木製玩具に「頑丈さ」や「安全性」を求める親の割合は80%を超える結果に。
今回の調査で明らかになった全10問の調査結果を参考に、「間伐材モビリティ」のデザイン統計を行いました。

日本は世界有数の森林大国ですが、木材自給率は4割程度に留まっており、現在は行政と企業が協力し、国産材利用の拡大推進が進められています。
「木育」と呼ばれる教育活動はその一環として理解され、幼少期から木材に関わる体験を通して、環境意識の高い子どもの育成を目指しています。木製玩具は古くから子どもに親しまれ、知育や情操教育の効果が認められていますが、幼少期の発達段階に適合する玩具を選択し、遊ぶことにより、身体機能の発育にも良い影響を与えると考えられています。
今回監修する「間伐材モビリティ」は、トヨタ三重宮川山林の木材を使用した乗り物タイプの玩具で、子どもの成長にあわせて形を多様に変化させながら長期間の使用に対応し、乗りごごちや使用時の安全性に配慮したデザインを採用していることが特徴です。保護者への調査で明らかになった、環境に配慮した玩具の使用、玩具の適用期間への心配、安全性のニーズに対応する製品として、「はじめてのとよた」の「間伐材モビリティ」を推薦いたします。



■ トヨタ自動車 ビジョンデザイン部 制作モビリティ
はじめてのモビリティは、どんなモノが良いのか、クルマ屋として提供すべきは何なのかを考え、「ステアリング操舵が出来る四輪車」で「はじめての愛車に相応しいデザイン」を目指しました。
造形は1937年トヨタ自動車誕生当時の欧米のレーシングカーからヒントを得たスタイルとし、乗っては身体に触れるところは木ならではの温もりを感じ、見ては木目の持つ味わいを楽しめるようにしました。フレームはアルミ押出材、操舵部位はピロボールジョイント等を使って本物感を醸成、ドライバーの体格に合わせ、座面やハンドル高さは調整可能としました。足蹴りがまだのドライバー(お子様)にはステップを用意、後ろからのプッシュバーも装着可能です。また前部に牽引パーツをつければ多人数で楽しむことも可能です。
※ 制作協力:デザイン統括部 開発試作部

■ トヨタ自動車 有志技術団体トヨタ技術会モビリティ 制作モビリティ
トヨタ技術会モビリティは、『気が付けば小さい時からいつもそばにいた「愛車」』を目指し、開発ををスタートさせました。間伐材を使うからには、長く使っていただいてこそのSDGsとの考えのもと、木馬から三輪車そして二輪車へと変身を可能にしました。
長く木製三輪車を作られてきた久保田建築様にアドバイスを頂きながら、変形モビリティを設計致しました。こどもたちにもモノづくりの楽しさを伝えるため、こどもたちが組付けられる部品(意匠)と大人が組み替える構造部品を組み合わせる設計とし、親子で楽しめるモビリティを目指しました。
車軸以外のほとんどを木材で製作。ハンドル部分には自動変速機用のベアリングを採用することで静粛性にも配慮しています。

■ 日本の森林の問題(間伐材の問題)
日本は国土の約7割が森林であり、森林率は世界で3番目の森林王国です。
戦後の木材需要にこたえるため、多くの山にはスギやヒノキが植えられ、森林面積の約40%が人工林となっています。しかし、外国産材の輸入やライフスタイルの変化などで、国産木材の利用が減り木材価格が低迷しました。そのため人工林は手入れがされなくなり、暗く不健全な森林が多くみられるようになりました。
苗木を植え、枝を払い、木が成長して混み合ってきたら間伐(間引き)する、そのサイクルを回していくことで、木は成長し、明るく健全な森が維持されます。間伐により、陽光がさすようになると木は光合成により二酸化炭素を吸収して酸素を放出、炭素を蓄積して大きくなります。また、間伐で明るくなった林内には草や広葉樹が生え、多様な生き物のすみかになったり、降った雨を吸収して少しずつ河川に流れるようにする緑のダムとして機能し私たちの暮らしを支えています。
木は50年〜100年かけて育てられ、作り手から、使い手へと渡っていきます。木を使うことで、森には新たな苗木が植えられて、循環のサイクルが脈々と続いていきます。

トヨタは2007年に三重県多気郡大台町の森林1702ヘクタールで森林再生の取り組みを始めました。この地域は、日本でも有数の雨の多い地域で、昔から林業が盛んでした。また、一級河川の宮川は、清流日本一に何度も選ばれたことのある清流です。
宮川の流域にあるトヨタ三重宮川山林では、間伐遅れの森林が多くあったため、最初の10年間で明るく健全な森にするための間伐を行い、徐々に林道を整備して木材の生産を行っています。生産された間伐材は、トヨタ会館 展示室 / トヨタ博物館 こども図書館、ブックカフェの床材などの施設で活用しています。
2010年には、環境・社会・経済の面から適切に管理されている森林を認証する「FSC ®認証」を取得。

トヨタは「人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ」として、生物多様性の保全をはじめとする自然共生活動を進めてきました。各事業所に作ったビオトープや地域の里山では生き物の保全活動とそのモニタリングを行い、また子供から大人まで楽しめる自然体験プログラムを実施しています。
一方で世界では生物多様性の損失が進んでおり、それを食い止めるため、2022年12月、生物多様性条約第15回締結国会議(COP15)で2030年までに各国で陸域と海域の30%以上を保全する「30by30」という行動目標が定められました。
2023年10月、トヨタが管理する「トヨタ三重宮川山林」を含む4サイトが環境省「自然共生サイト* 」の認定を取得しました。本サイトはOECM* 国際データベースにも登録され、30by30達成に貢献します。
今後もさまざまな方々と協力し、人と自然が共生する持続可能な社会の実現をめざしていきます。

自然共生|30by30(環境省):https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/
公式URL:https://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/social_contribution/feature/forest/forest_of_toyota/

国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標 15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。
15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。
15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。
15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。
15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。
15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。
15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。