柏の葉リビングラボプログラムのワークショップ
PLANET

大日本印刷株式会社(DNP)独自の行動デザインメソッドで「脱炭素×まちづくり」を住民・自治体と検討

大日本印刷株式会社(DNP)は、柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)と連携し、環境に配慮した脱炭素の視点で行う“まちづくり”のワークショップを2023年12月2日(土)に実施し、その成果を12月16日(土)の「柏の葉エコWEEKEND」にて発表しました。

大日本印刷株式会社(DNP)は、2013年にDNPサービスデザイン・ラボ(SDL)*1 を立ち上げ、生活者・企業・有識者・クリエイターとの共創で、「未来のあたりまえ」となる価値の創出につながる新たなサービスデザインの研究開発と実践に取り組んでいます。その一環で今回、柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)と連携し、国立研究開発法人産業技術総合研究所 人間拡張研究センターの研究者の協力等を得て、脱炭素社会の実現に向けて千葉県柏市が主催する柏の葉リビングラボプログラム「みんなのまちづくりスタジオ」“deco活編”*2 に参画しました。環境に配慮した脱炭素の視点で行う“まちづくり”のワークショップを2023年12月2日(土)に実施し、その成果を12月16日(土)の「柏の葉エコWEEKEND」*3 にて発表しました。



○同社が担当したワークショップでは、「どうすれば自然と脱炭素につながる行動をできるようになるか」について検討し、83件の具体的な行動のアイデアを生み出しました。その中で特に脱炭素の数値削減と行動変容につながる4件を抽出し、柏の葉の公共空間・設備を活用した設計を行いました。
○このワークショップでは、行動科学の知見に基づいて開発した、同社独自の行動デザインメソッドを用いました。行動デザインは、“やらなければいけないと思いながら、なかなかできないこと”について、製品やサービス、環境のデザインを通じて、生活者の行動変容を促す手法です。同社は慶應義塾大学と共同で、誰もが簡単に行動デザインの考え方を取り入れてアイデアを発想できるよう、プロセスの体系化とツールの開発を推進しています。今回のワークショップでは、このプロセスと、行動を後押しする要素が書かれた「DNPナッジカード™」を活用し、以下の内容を実施しました。

(1)脱炭素につながるアクションとターゲットの設定
(2)ターゲットとなる生活者がその行動をしない理由(行動障壁)の分析
(3)ナッジの考え方を活かした、行動を起こしたくなる施策のアイデアの発想



環境をテーマとした柏市主催の啓発イベント「柏の葉エコWEEKEND」の中で実施された「柏の葉脱炭素フォーラム」で、ワークショップで生み出した4つの提案について発表しました。

環境保全活動チーム「ごみ捨てを街全体で楽しくデザインする!」
3Rチーム「柏の葉をリペア文化のまちへ」
サステナブルファッションチーム「リペアオフィス柏の葉」
食品ロスチーム「炊き出し横丁」

これらの提案に対して柏市のまちづくりの関係者から、「ゴミ拾いもリユースもまちのコミュニケーションになる。普段自分たちで考える時とは違う視点を得られた」「ぜひ実装していきたい」「“ナッジ”で考えることの効果を感じた」などのコメントが寄せられました。



○ターゲットとアクション:地域人口分布のボリューム層である柏の葉に住むワーキングママ(親子)が、街なかのゴミを拾う
○行動障壁:「他人が捨てたものを触りたくない」「捨てるゴミ箱がない」「私がやらなくても誰かがやってくれるだろう」などのゴミを拾うことへの行動障壁を特定
○活用したナッジ:「やりたいこと」と「やらなければいけないこと」を組み合わせると実行したくなる「誘惑のバンドル」
○散歩のスポットでゴミ拾い用のトングが気軽にレンタルできる「エコアシストトング」をキーとしたアイデアを創出。拾ったゴミの量や種類の街頭サイネージ等での発信、拾った量に応じた貢献度合いの可視化やプレゼント特典、街の見守りカメラと連動してゴミが多い場所を散歩するルートの自動生成など、公共設備との組み合わせによって、街全体で持続的に取り組める企画としました。

○このアイデアを通してゴミの分別処理を正しく行うことで、一人当たり年間約4kg(家庭から出る容器包装プラスチックを全て分別してリサイクルした場合)のCO2削減量が期待できます
参考資料:環境省「ゼロカーボンアクション30」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/zc-action30/



今回創出したアイデアについて、今後、柏の葉の街でプロトタイピングを実施するなど、実装を目指した活動につなげます。同社は、デザイン経営(デザイン思考型組織)に向けて、約1,300人の社員がすでに行動デザインを学んでおり、マーケットの課題解決に行動デザインを適用させることで、多くの実績につながっています。引き続き、行動デザインメソッドの適用を進め、さまざまなステークホルダーとの共創を通じて、多様な地域課題や社会課題の解決に貢献していきます。
なお、同社のSDLは2024年2月9日(金)に、企業・研究者・生活者・自治体等とともに、新たなサービスデザインの手法・理論・リソースの共有・実践、展開等を検討するコミュニティ構築を目的とした「デジタルと社会をつなぐデザイン」研究会*4 で、関連する取り組みを発表予定です。
■「デジタルと社会をつなぐデザイン」研究会
主催:国立研究開発法人産業技術総合研究所 人間拡張研究センター
日時:2024年2月9日(金) 15:00-17:30
場所:WeWork日比谷Fort Tower内会議室


*1 サービスデザイン・ラボについて
https://lp.dnp.co.jp/servicedesignlab/
*2 柏の葉リビングラボプログラム「みんなのまちづくりスタジオ」“deco活編”
https://www.udck.jp/
地域の課題を起点に、住民とともに新たなサービス・製品・プロジェクト等を生み出す柏の葉の共創プラットフォームが「みんなのまちづくりスタジオ」です。同社は今回、環境省が提唱する「deco活」(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)の柏の葉での実装を目的とした“deco活編”に参画。「気候変動や脱炭素の基礎知識の習得」「脱炭素の行動目標の設定」「まちづくりのアイデア検討」の3つのワークショップを行い、「柏の葉エコWEEKEND」で成果を発表しました。
*3 柏の葉エコWEEKEND
https://www.udck.jp/reports/wuVYxYQC
*4 「デジタルと社会をつなぐデザイン」研究会について
https://wework.co.jp/location/tokyo/ginza-shimbashi-area/hibiya-fort-tower



SDGs目標13は「気候変動に具体的な対策を」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?

国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標 13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる*

13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
13.a 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。
13.b 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や⻘年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。