大学生が運送業の脱炭素に向けたプランを企業に提案 大量廃棄の輸送パレットを自然に還す、2024年12月7日に報告会
株式会社ニシヒロは、脱炭素に向けて毎年大量に廃棄される輸送パレットを自社でチップ化して自然に還す取り組みを開始します。
ドライバー不足やCO2排出量が2番目に多いことなど、課題が多い運送業。脱炭素やカーボンニュートラルに向けた取り組みが急がれる中、運送事業を行う株式会社ニシヒロ(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長:西尾 史郎)は、脱炭素に向けて毎年大量に廃棄される輸送パレットを自社でチップ化して自然に還す取り組みを開始します。福岡大学ベンチャー起業論の学生がビジネスプランを提案し、2024年12月7日(土)のビジネスプランコンテスト予選会にて報告を行いました。
環境省の国立環境研究所が2024年4月に発表した2022年度CO2排出量で、2番目に多い部門が運輸業です。前年に比べて各部門が減少する中、運輸部門は3.9%増加しました。車両の燃費改善やアイドリングストップ、荷台の空きスペースを有効に使う共同配送などに日々取り組んでいますが、コロナ禍からの経済回復で輸送量が増加した影響もあり、大幅な改善には至っていません。
全国12か所に拠点を持つ運送事業の同社は、福岡大学の学生と共に脱炭素に向けたビジネスプラン作りを行っています。経済学部ベンチャー起業論の学生チームが、大量に廃棄される木製パレットをチップ化して自然に還す取り組みを提案しました。12月7日に開催された学内でのビジネスプランコンテスト予選会にて報告しました。
同社を担当するのは20名の学生チーム「HEROES」。着目したのはパレットを廃棄する際に発生するCO2でした。自社では年間1,600枚、10tトラック6台分の木製パレットを廃棄しています。輸送に使われる木製パレットは、運ぶ製品や輸入元の国により規格が変わります。大きさや段の高さ、板の厚みが違うため使いまわしが難しく、製品と一緒に納品後、多くは有料で産廃業者に引き取られ廃棄されます。自社で廃棄パレットをチップに加工したり、肥料にする取り組みを行う運送事業者は全国でも珍しいです。
HEROESが活動を開始したのは2024年4月。物流倉庫がある古賀市との連携が決まった他、金澤バイオ研究所と技術提供の協力を検討しています。学生4名が古賀市長を訪問し、自社で加工したチップを雑草対策として今年度内に小学校に無償提供することが決まりました。チップは微生物の力で土に還るため、子供たちと一緒に撒くことで環境問題に関心を持つ機会になればと、市長も快諾。来年度以降は他の小・中学校にも広げて継続していく予定です。
さらに学生がオンライン面談を行った金澤バイオ研究所は、大学の研究で流木堆肥やウッドチップなどの再資源化技術があります。「地消池産コンポストシステム」では、地域の有機物(ごみ)を高性能で安全なオーガニック肥料に還して地域の農産物を創出できるため、廃棄パレットをチップ化したものにこのシステムを活用できるか検討しています。
学生の声「当初は再利用するためテーブルなどに加工して古賀市の祭りに提供しましたが、最終的に処分されるため再度根本的な解決に向けた方法を検討しました。収益化には少し期間を要するのでベンチャー事業として課題はあります。しかし会社として社会貢献や地域密着を目指していると伺っていたため、環境改善に向けた長期的な視点も必要ではないかと考え今回の提案を行いました。」
担当した専務取締役は「社内でも運送業の課題解決に関わる新規事業を模索していましたが、なかなか良い案が出ずに苦戦していました。若者の力を借りようと、福岡大学経済学部ベンチャー起業論の学生にビジネスプラン創出を依頼。彼らの発想や行動力は素晴らしく、各所に積極的にアプローチしてくれたことで今後の道筋が見えました。当社が社会や世界のヒーローになってほしいという想いでチーム名を“HEROES”にしたと聞きました。環境改善のため、しっかり引き継いで形にしていきます。」
会社名: 株式会社ニシヒロ
代表取締役社長: 西尾 史郎
事業内容: 一般貨物自動車運送事業・貨物取扱事業・倉庫業・産業廃棄物の収集運搬業
本社所在地: 〒813-0023 福岡県福岡市東区蒲田2丁目38-20
電話番号: 092-691-6118
営業時間: 平日・土曜 8:15-17:00(休み:日曜・祝日)
URL : https://www.2416.jp
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標 7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
7.1 2030 年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。 7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 7.a 2030 年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。 7.b 2030 年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。