第9回世界水フォーラム
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第9回世界水フォーラム:アフリカの水と衛生分野の進捗に警鐘~4億人以上が安全な飲料水を利用できず

セネガルのダカールで開催されている「第9回世界水フォーラム」にて本日発表された、ユニセフとWHOの水と衛生に関する共同監査プログラムによる報告書は、アフリカでの水と衛生に関するSDGsの達成のためには、同分野における進捗速度を劇的に加速することが必要だと指摘。

セネガルのダカールで開催されている「第9回世界水フォーラム」にて本日発表された、ユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)の水と衛生に関する共同監査プログラム(JMP)による報告書は、アフリカでの水と衛生に関する持続可能な開発目標(SDGs)の達成のためには、同分野における進捗速度を劇的に加速することが必要だと指摘しました。この報告書では、水不足と脆弱な衛生・保健サービスが平和と発展を脅かしかねないアフリカ大陸において、緊急に行動を起こすことの必要性が呼びかけられています。

2000年から2020年の間に、アフリカの人口は8億人から13億人に増加しました。本報告書によると、約5億人が基本的な飲料水を、2億9,000万人が基本的な衛生設備(トイレ)を利用できるようになりました。

しかし、アフリカ大陸ではいまだに、4億1,100万人が基本的なレベルの飲料水を得られず、7億7,900万人が基本的なトイレを利用できず(そのうち2億800万人は野外排泄をしている)、8億3,900万人が基本的な手洗い設備を利用できずにいます。

アフリカでSDGsの目標を達成するには、安全に管理された飲料水に関しては現在の12倍、安全に管理されたトイレに関しては20倍、基本的な手洗い設備に関しては42倍のスピードで前進させていく必要があると報告されています。

ユニセフ・西部・中部アフリカ地域事務所代表のマリー・ピエール・ポワリエは「飲料水、トイレ、手洗い設備への公平なアクセスは、子どもたちやコミュニティの健康と発展の基礎となるだけではありません。水は命であり、発展であり、そして平和を意味するのです。水不足が紛争の火種となり、水源地が狙われている今、ユニセフは緊急の行動を求めています。特に、学校にトイレがないことや、水を汲みに行かなければならないことが原因で学校を休まなくてはいけない女の子たちのために、学校で水・トイレ・手洗い設備を整えることが必要です。女性や子どもが、安全に水を利用できなければなりません」と述べました。

都市と農村の間、地域間、富裕層と貧困層の間など、国内の大きな不平等も根強く残っています。安全に管理された飲料水にアクセスできない人は、都市部で5人に2人、農村部では5人に4人です。安全に管理されたトイレを利用できない人は、都市部で3人に2人、農村部では4人に3人であり、基本的な手洗い設備を利用できない人は、都市部で人口の半分、農村部で10人に7人です。

ユニセフは世界100カ国以上で緊急時も含めて活動し、農村部と都市部の両方で、安全な水と適切なトイレを利用できるようにし、基本的な衛生習慣を促進するための支援を行っています。人道的状況において命を守る支援を提供する傍ら、学校や保健医療施設と直接協力して、こうしたサービスへのアクセスを改善し、子どもたちにとってより良い、水・衛生・保健衛生を実現しています。

3月21日から26日にかけて、ユニセフを含む多くのパートナーの支援を受けて初めてサハラ以南のアフリカで開催される「第9回世界水フォーラム」は、アフリカ大陸全域で2030年までに水と衛生へのアクセスを改善するための解決策を見出すために、水に関するコミュニティや意思決定者向けの独自のプラットフォームを提供することを目指しています。

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています



公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/


※日本ユニセフ協会プレスリリースより

SDGs目標6「つくる責任 つかう責任」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?

国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
6.1 2030 年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。
6.2 2030 年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける。
6.3 2030 年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物質や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加させることにより、水質を改善する。
6.4 2030 年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
6.5 2030 年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
6.6 2020 年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。
6.a 2030 年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
6.b 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。