坂梨 亜里咲
PEOPLE

mederi代表坂梨亜里咲 過去にピルを飲んでいた実体験から始めた事業

mederi Pillを展開するmederi株式会社の坂梨 亜里咲さんにお話を訊いてきましたのでご覧下さい。自身の不妊治療がきっかけでmederiを立ち上げたようです。

目次
■ mederiを立ち上げたきっかけ >>
■ 体験から生まれた商品 >>
■ ピルの正しい認識を >>
■ 「フェムテック」とは? >>
■ 法人向けの「mederi for Biz」とは? >>
■ 女性起業家として苦労は? >>
■ 私生活で意識していることは? >>
■ 目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは? >>

代表・坂梨亜里咲氏が長年の不妊治療をきっかけに起業した女性のパーソナルな日常に寄り添うフェムパートナー「mederi」。心と体の負担を、フェムテックの力で解決したい。『より女性が生きやすく、暮らしやすく、働きやすい社会にむけて』心と体のバランスを整えてくれる、安心・安全を追い求めたプロダクトで、mederiは頑張る女性を応援しているという。

そんなmederiの坂梨氏にSDGs fanは、お話を聞いてきました。



記者 mederiを立ち上げたきっかけは?
坂梨 26歳から不妊治療を行っていましたが、その当時は自分が不妊治療をしていると自覚しないように仕事に集中していました。30歳を前にキャリアなどを考えた際に、あまり意識しないようにしていた不妊治療について、改めて、それも個性になり得るんじゃないかと考え、1人でも多くの女性に後悔のない人生を送ってもらうために、自らの経験からmederiを立ち上げました。

記者 mederiが展開する製品・サービスラインナップを教えてください。
坂梨 起業してすぐに展開した「Ubu(ウブ)」という妊活サポートブランドと、前澤ファンドからの出資でスタートしたオンラインピル診療の「mederi Pill(メデリピル)」の2つのサービスがあります。

記者 前澤ファンドからはどういった経緯で出資頂いたのでしょうか。
坂梨 前澤さんがTwitterで10人の起業家に総額100億円投資するという企画をやっていて、私もみなさんと同様に応募し、トータル1年間の選考期間を経て選出いただきました。



記者 製品開発・サービスリリースに至った背景や想いは?
坂梨 最初に立ち上げた妊活サポートブランドの「Ubu」はmederiを立ち上げるきっかけとなる、私の体験から生まれた商品です。起業当時は不妊治療をされている方や妊活をされている方へ向けたサービスを展開したくて、普段私が飲んでいたサプリメントの成分をスタイリッシュにしたもの、そして、価格を手頃にしたものを販売、膣内細菌のバランスがわかるチェックキットも病院よりも安価に提供しています。その後、初診からオンライン診療が特例で可能になっているコロナ禍の背景を活用し、妊活する前にピルを飲んでいた経験から、オンライン診療ピルサービスのプラットフォーム「mederi Pill(メデリピル)」を立ち上げました。



記者 「ピル=避妊」というイメージがあります。そもそもピルとはどんな薬なのでしょうか?どのような効果があるのでしょうか?
坂梨 ピルは世界で1億人以上の女性が飲んでいると言われています。避妊だけではなく、副効用があるのが特徴の医薬品で、生理痛の緩和や生理前にイライラするなどのPMS症状等に有用と言われています。卵巣癌や子宮体癌の発症リスク軽減にも繋がります。mederi独自のアンケートによると、ピルの服用理由については、避妊目的もありますが、同じ割合でPMSや生理不順の改善も挙げられています。

記者 年代や立場(学生、社会人、未婚/既婚、働いている/働いていない、出産経験有/無など)によって悩むポイントは異なるかもしれません。mederiの製品・サービスはどのような立場の人に使ってもらいたいですか?
坂梨 ピルは月経トラブルに処方される医薬品です。月経は早くて10歳から50代まで幅広い年代の方々に伴う症状なので、様々な年代の方々に有用なお薬といえます。「mederi Pill(メデリピル)」に関しては20代、30代の利用者が多く、10〜30代の女性に選択肢の1つとして、ピルを知っていただきたいと考えています。月経トラブルだけではなく、妊娠・出産を経て、バースコントロールとして取り入れる方もいらっしゃいます。

記者 坂梨さんの女性へのメッセージがとても伝わってきます。男性(ユーザー女性のパートナーや家族など)へ伝えたいことはありますか?
坂梨 パートナーの日々の体調を意識すると「何も悪いことしてないのに何故イライラしているんだろう」「毎月この日付近で口論になるなぁ」などホルモンバランスに関係していることがあるかもしれません。それが分かると関係もより良好になると思います。



記者 「フェムテック」のことを教えてください。この言葉を知らない人が多いというデータもあります。
坂梨 2021年流行語大賞にノミネートされました。日本では2019年、mederiを創業したあたりからフェムテックという言葉が浸透してきて、2020年がフェムテック元年とも言われています。Female(女性)とTechnology(テクノロジー)で、フェムテックなのですが、日本では、海外ほどテクノロジーに寄ったプロダクトは少なく、フェムケアと呼ばれるプロダクトが多い印象です。

記者 どのようにフェムテック業界を盛り上げたいですか?
坂梨 フェムテックという言葉が今よりも浸透していなかった2019年に、フェムテックに関する正しい知識を広げ、フェムテック業界を率いていきたいという思いから、会社を設立しました。毎月訪れる月経、妊娠・出産領域において、女性ならではの経験に寄り添ったサービスやプロダクトを提供しています。



記者 「mederi for Biz」というサービスについて教えてください。
坂梨 mederi Pill(メデリピル)のユーザーには、20代、30代の働く女性が多いのですが、月経は毎月くるので費用面が気になると言う声もあります。mederi for Bizは、そのような声を受け、企業に一部負担していただきながら女性のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めたいと思い、始まったサービスです。福利厚生で、セミナー、オンライン診療、ピル処方を導入いただくサービスになります。



記者 女性起業家として活躍されている坂梨さんですが、mederi立ち上げ・製品開発・サービスリリースなどで苦労されたことはありますか?
坂梨 意外とゼロからイチは早いんです。これまでの実体験がありますし。イチから100となったときに苦労する面が出てきますね。特にマーケティング観点では日々学びが多いです。



記者 坂梨さんが普段の生活で意識していること・気をつけていることはありますか?(フェムテック関係無く)
坂梨 仕事してる時間と寝てる時間しかないくらいオンオフがない人間なので、睡眠時間は最低5時間は保ちたいです。睡眠環境と睡眠の質にはこだわりを持っています。睡眠中も可視化したく有料の睡眠管理アプリを活用して、睡眠の質がどうだったかを見ていたりします。また、女性向けヘルスケア領域ということもあり、些細なことでも人を傷付けてしまったり、誤解をさせてしまう可能性があるので、様々な専門家にご協力いただきながら、サービスを運営しています。

「mederi Pill」は2022年1月にローンチしたばかりの、スマートフォンやLINEによるオンライン診療で体調にあったピルを提案し、最短翌日にお届けしてくれるオンラインピル診療サービスです。そんなmederiを立ち上げた代表取締役の坂梨さんにお話を聞きました。
日本ではまだまだフェムテックが浸透していない為、リーディングカンパニーとして牽引していきたいとのことです。今後の坂梨さんの活躍に期待したいと思います。


プロフィール
明治大学卒業後、ECコンサルティング会社にてマーケティング及びECオペレーションを担当。
女性向けwebメディアのディレクター、COO、代表取締役を経験した後に、自らの4年に渡る不妊治療経験というウィークポイントをきっかけに、フェムテック企業を立ち上げることを決意。自分の経験を通して、ひとりでも多くの女性に自分の体を知るきっかけをもたらしたいと考え、2019年に、MEDERI株式会社を設立。(※現在mederi株式会社)


URL:https://mederi.jp/company/

国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。
5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。
5.4 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
5.6 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
5.a 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。
5.b 女性のエンパワーメント促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。
5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性及び女子のあらゆるレベルでのエンパワーメントのための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。