
木材を有効活用し、持続可能なものづくりに挑戦 未利用材を鍵盤に活用した電子ピアノ TORCH『T01』を20台限定発売
ヤマハ株式会社は、クラリネットなどの木管楽器に使用される希少木材グラナディラの未利用材を鍵盤に活用した、電子ピアノの新しいコンセプトモデル、TORCH『T01』を国内にて20台限定で抽選販売します。
同社は、木材をはじめとする自然素材を製品に用いており、楽器製造に欠かせない希少木材を未来に向けて守り、サステナブルな森をつくる「おとの森」(注2)活動に取り組んでいます。その活動の中で木材を有効活用する技術を探り、同時に持続可能なものづくりに挑戦するプロジェクトを発足。未利用材(注1)を楽器の素材に用いたプロトタイプの制作や、その企画展示「楽器の木」展(注3)を開催し、木材の新しい価値を引き出す製品開発に取り組んでいます。
このような活動から誕生した木のぬくもりを感じられる電子ピアノがTORCH『T01』です。鍵盤には、クラリネットやオーボエなどの木管楽器の材料に欠かせない希少木材グラナディラ(注4)の未利用材を使用しています。粉砕したグラナディラを高比率で含む鍵盤は、木材の色味を生かした黒色で、時間を経るごとに変化が生まれます。
外装では、環境負荷の軽減に配慮して通常使用しているポリ塩化ビニルシートの使用を控え、木材の特長や質感を生かすため、天然オイルによる手仕上げや当社独自のレーザー技術による加工を行いました。また、椅子の座面にはヒノキを含む素材を使用しています。
本製品のブランド名「TORCH」は「たいまつ」を意味します。音・音楽を愛する人たちに楽器とともに過ごす時間のあたたかさを愉しんでいただきたい、楽器や音楽文化の灯(ともしび)となり未来を明るく照らしていきたい、という想いを込めて命名しました。今回の製品開発により得られた知見や技術は、次世代の楽器づくりにも応用し、新しい価値を創造していきます。
TORCH ブランドサイト
https://www.yamaha.com/ja/stories/environment/otonomori/torch_t01/
1.グラナディラの未利用材を活用した黒い鍵盤
2.木の触感やあたたかみを感じられる手仕上げの外装
3.演奏やお手入れにより味わい深くなる経年変化
4.最高峰のグランドピアノ音色と本格的な弾き心地
品名:ヤマハ 電子ピアノ TORCH
品番:T01
希望小売価格:990,000円(税込)
販売台数:20台
抽選申込受付:
2月18日15:00~
3月31日23:59
(当選発表は4月中旬を予定)
※抽選の上、ヤマハミュージック直営店のみでの販売となります。
1.グラナディラの未利用材を活用した黒い鍵盤
クラリネットやオーボエなどに使用するグラナディラの木材のうち、楽器づくりに適する部分はわずかであるため、使用する部分の選別が行われます。そこで発生する未利用材を「木質流動成形技術」(注5)で成形し、鍵盤に採用しました。木材と樹脂の複合素材を使用しており、グラナディラを70%の高比率で含むことで、木のぬくもりを感じられる手触りを実現。また、鍵盤に含まれるグラナディラの吸湿性により指が滑りにくく快適な弾き心地を楽しめます。
2.木の触感やあたたかみを感じられる手仕上げの外装
木質ボードを用いた楽器本体の外装には、通常使用するポリ塩化ビニルシートを用いず、天然由来のオイルを人の手で直接塗布し、木の触感やあたたかみが感じられる仕上げを行いました。楽器本体や椅子の側面には、グラナディラの樹皮の模様を表現しており、自動車用内装部品を手掛ける当社グループ会社と連携し、高級車内装用のレーザー加工技術を用いて描いています。椅子の座面には、通常使用するポリ塩化ビニルシートの代替として、ヒノキを含む材料を使用。楽器本体や椅子の木口も手になじむよう人の手で仕上げています。音量調整用のつまみはグラナディラの未利用材を削り出しており、細部に至るまで木の質感を生かしています。
3.演奏やお手入れにより味わい深くなる経年変化
鍵盤は、弾き込みの具合に応じて色が変化していきます。楽器本体に用いた木質ボードは、設置する場所の温度などの環境によって色が変化し、木部用ワックスによるつや出しが可能です。ご使用いただくほど味わい深くなる風合いをお愉しみいただけます。
4.最高峰のグランドピアノ音色と本格的な弾き心地
ピアノの音色は、ヤマハの最高峰コンサートグランドピアノ「CFX」や、ウィーンのピアノブランドであるベーゼンドルファー社のフラッグシップモデル「インペリアル」を搭載。鍵盤は、「グランドタッチ-エス™鍵盤」の機構を使用。グランドピアノのような広いダイナミックレンジを実現し、タッチに応じて多彩に変化させるだけでなく、繊細な音色から雄大な音色まで、さまざまな音色を自在に奏でることができます。木材を含んだ鍵盤や外装から伝わって響くあたたかな音色をお楽しみいただけます。
TORCH『T01』は、2月19日から順次当社の直営店などで展示します。抽選申し込み受付はキャンペーンサイトで2月18日15時から開始します。詳細は、下記サイトをご確認ください。
抽選販売のご案内
https://jp.yamaha.com/news_events/2025/pianos/t01_lottery_sales.html
1)未利用材
楽器づくりにおいて木材を厳選し加工する過程で発生する不使用材のこと。
2)おとの森
楽器製造に当たり、他の材料では代替が困難な希少木材を次世代の楽器製造にも活用できるようにするための活動です。原産地域の森林保全、木材の有効活用、地域社会の発展を包括的に盛り込んだ循環型の森林づくりを行っています。現在、3種の希少木材(グラナディラ、アカエゾマツ、インドローズウッド)を対象に、植林や森林管理による資源回復の促進、資源の有効活用技術の研究開発など、国内外での活動を進めています。
おとの森について https://www.yamaha.com/ja/stories/environment/otonomori/
3)「楽器の木」展
未利用材を用いた電子ピアノやギターのプロトタイプの展示など、楽器に使用する木材や、持続的に楽器を作り続けるための最新の研究結果をご覧いただく企画展示です。ヤマハ銀座店で2022年から2024年まで3期に分けて開催しました。
「楽器の木」展について https://www.yamaha.com/ja/stories/environment/gakkinoki/
4)グラナディラ(アフリカン・ブラックウッド)
東アフリカのタンザニア、モザンビークを中心に、サブサハラ南部に広く分布しており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(2024)で準絶滅危惧種(Near Threatened)に分類される希少木材です。クラリネットやオーボエなどの木管楽器の材料として使用され、その音響特性や特徴的な外観から木管楽器製造に欠かせない存在となっています。楽器づくりにおいて実際に使用される木材は厳選され、そこで発生した未利用材の多くは使途を変えて燃料用木材となっており、有効活用する方法を探ることが課題となっていました。
5)木質流動成形技術
原料木材を流動させることで、材料が持つ音響や触感などの特性を生かしたまま成形する技術。
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標 15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。 15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。 15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。 15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。 15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。 15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。 15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。 15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。 15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。 15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。 15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。 15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。