
【ガザ停戦後の平和構築に、女性・若者の声を】パレスチナ・イスラエル間の交渉で排除されてきた次世代リーダーを組み込む対話会合や研修を通じて、新たな和平プロセスの構築を目指す日本発のプロジェクトが始動。
年長の政治指導者が主導するも停滞してきたパレスチナ和平に向けた対話。日本発の国際NGOが、パレスチナの政党や市民社会の女性・若手リーダーを育成し対話に組み込むことで、新たな和平プロセスの構築を目指す。
紛争解決・平和構築を専門とする日本発の国際NGOであるNPO法人アクセプト・インターナショナル(東京都中央区、代表理事:永井陽右)は、パレスチナにおける持続的な平和の実現に向けて、パレスチナの政党や市民社会の女性・若手リーダーを含めた、今までにない和平プロセスの構築および彼らを巻き込んだガザ地区へのさらなる緊急人道支援を行うために、新規プロジェクトを開始しました。本プロジェクトの実施に際して、2月24日から4月20日までの期間限定で、日本から新たに300名の賛同者(アクセプト・アンバサダー)を募集します。
■プロジェクト特設サイト
2025年1月19日、ガザ地区におけるハマスとイスラエル間の停戦合意が発効しましたが、依然として状況は極めて深刻です。というのも、停戦合意後もガザ地区やヨルダン川西岸地区で攻撃が行われており、パレスチナ人の不当な逮捕や勾留も引き続き行われています。
さらに、停戦合意の第1段階は6週間の期間限定であり、第2、第3段階への移行が疑問視される中、恒久的な停戦や全ての人質の解放、ガザ地区の復興計画も難航することが予想されています。
こうした中、ガザ地区における緊急人道支援がなされていますが、新しい視座や視点をもって新たな和平プロセスを見出す取り組みは不足しています。というのも、これまでのパレスチナ・イスラエル間やパレスチナ内の交渉や対話は年長の政治指導者らに主導されており、そこでは、今後の社会や平和の実現において大きな役割を担う女性や若者の参加は極めて限られてきました。また、これまでの和平プロセスでは、重要な紛争当事者も参加していませんでした。
そうした背景もあり、オスロ合意の破綻をはじめとして、2023年10月7日の情勢悪化の以前から有効かつ持続的なパレスチナ和平への見通しは立っていない状況が続いていました。
だからこそ、ここからのパレスチナ和平においては、紛争当事者を含む女性や若者たちが「平和の担い手」として新たな和平プロセスを構築することが求められています。
本プロジェクトでは、パレスチナの女性・若手リーダー主導の新たな和平プロセスを創るとともに、彼ら彼女らと連携して緊急人道支援などの取り組みを行います。これにより、これまで取り残されてきた女性や若者たちを起点とした和平の実現への足掛かりを築いていきます。
なお、現状はパレスチナにおける和平プロセスにおいて公式な枠組みは存在していないため、今回、アクセプト・インターナショナルが新たな道筋を創ります。また、これまで交渉や対話を主導してきた年長の政治指導者らを排除するものではなく、彼らからも賛同を得て実行しています。
①紛争当事者を含めた新たな平和プロセスの構築
◯対話会合
これまでに中東各国でパレスチナの若手リーダーたちとともに、対話会合を3回ほど実施してきました。対話の中では「国際社会で仲間を増やす方法を知りたい」「パレスチナ人の間の和解について考え、新たなプロセスを始めたい」など、さまざまな意見や問題意識が出されました。
ここからはさらに多くの政党から若手リーダーの参加を呼び込むとともに、市民社会などで活躍する若者たちも含めて対話を行います。また、参加者の半数は女性の若手リーダーになるようにし、新たな和平プロセスを促進していきます。
◯和平プロセス促進のための研修
多様な研修を通して、若手リーダーの能力を強化していきます。これまでにも国際法の専門家を招いて、国際法の視座からの問題点や解決に向けた具体的な行動などについて講義と議論の場をつくってきました。
ここからは、国際的な影響力のあるアルジャジーラや、スペインのトレド国際平和センターなどの国際的な組織、そして大学などの研究機関とも連携しつつ、紛争解決、平和構築、交渉、メディア戦略などに関する研修をも実施していきます。
②ガザへのさらなる緊急人道支援
多くの避難民が集まるガザ中部にて、衛生用品の配布を868世帯を対象にこれまで実施してきました。避難民キャンプは過密状態にあり、感染症が拡大しやすい状況にあるため、石鹸、シャンプー、洗剤、歯ブラシ、生理用品などを配布し、衛生環境の改善をはかっています。
今後はガザ北部で給水支援などを含めたさまざまな支援を行う予定です。北部ではイスラエル軍による激しい包囲攻撃が行われ、多くの井戸が破壊されているため、給水支援は欠かせません。国連機関や他のNGOなどとの調整をしつつ、現地のニーズに合わせて食料支援や衛生環境改善なども実施していきます。
なお、緊急人道支援の内容や実施の方法については、若手リーダーたちによる和平プロセスの中で出てきた新たな課題や提案も踏まえて検討することで、援助関係者だけによる支援ではなく実際のパレスチナの人々の視座も組み込まれるように工夫していきます。
アクセプト・インターナショナルは、本プロジェクトの実施に際して、2月24日から4月20日にかけて新たに300名の賛同者(アクセプト・アンバサダー)を募っています。アクセプト・アンバサダーとは、月1500円からの寄付を通じて同団体の活動を支援することができる制度です。
以下は本プロジェクトにかかる経費の一例となります(人件費は含まれていません)。こうした取り組みを中長期で行っていくために、継続的な寄付で活動に支援・参加ができる「アクセプト・アンバサダー」が必要です。
1回あたりの対話会合および研修のための費用(参加者の居住地から開催地までの往復航空券、宿泊費など)※オンラインを含め2ヶ月に1回程度開催
300〜400万円
食料配布(ガザにおける400世帯を対象に1週間の食料を支援)
500万円
給水支援(ガザにおける1000世帯を対象に30日間の飲料水を支援)
500万円
国内外で憎しみの連鎖といった負の連鎖をほどくことを目指して、2011年の創設以来、ニーズが非常に高いにも関わらずやり手がいない地域・分野・対象に向けて取り組みを実施してきました。
海外では、主に紛争に加担した若者が平和の担い手となるための支援や、地域社会への緊急人道支援および和解や和平に向けた取り組みに加え、世界中の紛争当事者が暴力から離脱するための国際規範の制定に向けた国際アドボカシー活動などを行なっています。
また、日本国内においては一般向けの啓発事業に加え、特に取り残されがちなイスラム教徒を中心とする在日外国人への生活支援・相談支援や、犯罪に巻き込まれた特に深刻な少年・少女への包括的な社会定着支援などを展開しています。
外務省 SDGsサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標 1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
1.1 2030年までに、現在 1 日 1.25 ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。 1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、 すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。 1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。 1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。 1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。 1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。