
世界とともに動くArt Climate Collective Japan、日本のアートセクターに向けて、さらなる気候アクションを提案
国際的な環境及びアート分野の専門家とのネットワーク構築からサスティナブルな美術梱包マニュアルの日本語翻訳、カーボン計算機のリニューアルの紹介まで—アートセクターの変革を後押し
気候変動への対応が社会全体で求められるなか、アートの現場でも持続可能な取り組みへの関心が高まっています。
特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト](以下、AIT)が運営するArt Climate Collective Japan アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(以下、ACCJ)では、このたび以下の3項目について発表しました。
1. 環境分野とアート分野を横断するネットワーク「Green Circle」の発足
2. GCCによる環境に配慮した美術梱包のためのマニュアル日本語訳版を初公開
3. GCC提供カーボンフットプリント計算ツールのリニューアルを紹介(英語)
これらは特にアートに関わる関係者に向けたツールとなりますが、広くさまざまな方々に活用いただけます。
また、AITは、”2030年までにアートセクターの温室効果ガス排出量を50%削減し、ゼロウェイストを推進すること”を目標に掲げる国際的な非営利団体「ギャラリー気候連合 Gallery Climate Coalition(以下、GCC)」のアクティヴ・メンバーに、3年連続で認定されました。アクティヴ・メンバーには、ほかにもイギリスのTateやニューヨークのMuseum of Modern Art(MoMA)、スイスを拠点とするArt Baselなど、国際的に高い評価を受ける美術館やアートフェアが名を連ねています。
ACCJは今回、アートと環境の交差点で知見や実践を共有するネットワーク「Green Circle」を発足しました。Green Circleは、ACCJの活動に共感し、連帯の意思をもつアドバイザーや仲間によって構成されています。特に気候科学にまつわる研究や世界の動向、美術館全体の動きなど、専門的な知識や知見を共有することで、ACCJの活動や今後の展開に多角的な視点をもたらします。
以下の方々に参画いただいています(敬称略/五十音順):
江守 正多(東京大学未来ビジョン研究センター 教授)
片岡 真実(森美術館 館長/国立アートリサーチセンター長)
菊竹 寛(Yutaka Kikutake Gallery 代表)
小林 エリカ(作家/アーティスト)
茅野 恒秀(法政大学 社会学部 教授/信州大学 グリーン社会協創機構 特任教授)
野村 政之(信州アーツカウンシル ゼネラルコーディネーター)
ケイト・マクギャリー(Kate MacGarry Gallery 代表)
山本 裕子(ANOMALY ディレクター/一般社団法人 日本現代美術商協会(CADAN) 代表理事)
昨年8月に公開した「ギャラリーとアートセクターのため脱炭素アクションプラン」に続き、GCC発行の「ギャラリーとアートセクターのための梱包マニュアル」を日本語翻訳しACCJのウェブサイトにて公開しました。
このマニュアルは、美術作品の輸送や展示に欠かせない梱包資材の使用が、環境にどのような影響を与えるかを明らかにするとともに、より持続可能な梱包の方法を具体的に紹介しています。
内容は、「環境配慮の10ステップ」や素材選びのガイドライン、代替素材の紹介などで構成されており、ギャラリーや美術館、アーティスト、コレクターなど、多様な関係者が自らできるアクションを見つけるための実践的な資料となっています。
GCCが提供する「GCCカーボン計算機」は、アート関連活動に伴うカーボンフットプリントを把握するためのオンラインツールです。ACCJのウェブサイト上でも紹介しており、2025年4月に更新版がリリースされ、従来に比較して精度の高い計算機ツールになりました。カスタマイズ機能も追加され、より使いやすく、アートセクターの実態に即した形でアップデートされました。
展示や作品輸送、イベント、出張など、アートの現場で生じる様々な排出要因に対応しており、各組織が自らの活動を数値で捉え、次の一手を検討する手助けとなります。
アートセクターの気候危機への意識向上と理解促進、また、その対策における有用なツールやリソースの発信、協働と支援の場を提供することで、アートセクター全体が地球環境に配慮した活動を構築することを目的としている。
https://accj.a-i-t.net
運営:特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]
Special Supporter(特別助成):公益財団法人石橋財団
Supporter(寄付):株式会社ハースト婦人画報社
特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/ エイト]は、2001年に6名のキュレーターとアート・マネジャーによって設立(2002年法人化)。現代アートを「学び、対話し、思考する」ための場を提供することを目的とし、約20年にわたり教育プログラムや国際交流、企業連携によるアートプログラムの企画・運営を行う。2021年よりGCCに加盟、2023年から3年連続で「アクティブ・メンバー」に認定。2023年7月、気候危機とアートのアクションを通して、サステイナブルなアートセクターの構築を目指すプロジェクト「Art Climate Collective Japan アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(ACCJ)」を立ち上げ、環境意識の醸成と具体的行動の推進に取り組んでる。
2025年6月末(予定) ACCJの活動実績をまとめた『ARON's JOURNEY』刊行
2025年6月末(予定) ACCJ Podcast スタート
2025年4月 マガジンハウス『BRUTUS』特別特集「 新しい仕事と、僕らの未来。」にてロジャー・マクドナルドと片岡真実氏によるインタビュー掲載
2025年4月「アートと気候危機の勉強会」第6回開催(TODAビルディング 「APK ROOM」)
2024年7月 シンポジウム「アートセクターはどのようにアクションを起こせるか」開催(代官山ヒルサイドプラザ)
2024年5月・7月 「アートと気候危機の勉強会」開催(第4回CADAN有楽町、第5回AITルーム)
2024年2月 同第3回開催(森美術館)
2024年 GCCより2年連続で「アクティヴ・メンバー」に認定
2023年 GCCによる「非営利団体・公共団体のための、脱炭素アクションプラン」日本語訳版Ver.1リリース
2023年〜 GCCより日本初の「アクティヴ・メンバー」に認定 ※3年連続
2021年〜 「美術手帖オンライン」「AITブログ」にて気候危機に関する連載・発信継続中
2021年〜 Gallery Climate Coalition に加盟
SDGs目標13は「気候変動に具体的な対策を」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標 13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる*
13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。 13.a 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。 13.b 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や⻘年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。