11月21日(金)は「世界漁業デー」【海洋プラスチックごみや漁網リサイクルに関する意識調査を1000人に実施】
漁業者が海の環境を守る“漁網リサイクル”へ取り組むことに「良い印象」と回答した人は78.1%、「応援したい」人は92%にのぼる
リファインバース株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:越智晶)は、日本各地から廃棄される漁網を回収し、再生ナイロン素材「REAMIDEⓇ」(リアミド)へと再資源化する事業を2019年より開始し、現在では建材や家電、アパレル製品、オフィス家具など、さまざまな用途で使用されています。11月21日の「世界漁業デー」に先駆け、全国の20〜60代の男女1,000人を対象に、海洋プラスチックごみおよび漁網リサイクルに関する意識調査を実施しました。
本調査では、海洋プラスチック問題への関心の高まりが見られる一方で、「漁網リサイクル」という具体的な解決策の認知度は25%にとどまることが明らかになりました。しかし、漁業者がこうしたリサイクル活動に取り組むことを「応援したい」と回答した人が9割を超えるなど、環境保全を自分ごととして捉える意識が根づきつつあることもわかりました。
こうした結果から、海洋プラスチックごみ問題の理解が「危機意識」にとどまらず、「行動への共感」に移り始めていることが見て取れました。
1. 漁網などの漁具が海洋プラスチックごみの一因であることを知っている人は55.3%
日本近海に漂着する海洋プラスチックごみのうち約30%※が漁具由来とされています。今回の調査でも、漁網や釣り糸などが海洋プラスチックごみの一因であることを「知っている」と回答した人は55.3%と、半数をやや上回る結果でした。
海洋プラスチック問題の認知が一般層にも広がりつつある一方で、依然として具体的な発生源や対策についての理解が十分でない層も多いことが示唆されます。
※環境省「令和4年度漂着ごみ組成調査データ取りまとめの結果について」
2. 漁網のリサイクル技術の存在を知っている人は25%にとどまる
同社では、2019年より廃棄漁網を日本各地から回収し、再生ナイロン素材「REAMIDEⓇ」として再資源化する技術を開発しました。現在では、オフィス家具やアパレル製品、文具など様々な製品に使用いただいています。しかし、今回の調査では「漁網のリサイクル技術がある」と認識している人はわずか24.8%にとどまり、技術の存在や社会実装の広がりが十分に伝わっていない現状が浮き彫りになりました。
3. 使い終えた漁網がリサイクルされ、新しい製品に生まれ変わることを「良い」と感じる人は71.3%。
使い終えた漁網がリサイクルされて新しい製品に生まれ変わることについて、合計71.3%が「良いと思う」「やや良いと思う」と回答しました。世代別では、特に50代以上で肯定的な回答が多く、70%を超える人々が漁網リサイクルを肯定的に捉えています。
この結果から、海洋環境問題に対して現実的な解決策を提示する取り組みが、世代を超えて共感を呼んでいることがわかります。
4. “漁網の再生素材を使用した製品”があれば選びたいと答えた人は69.5%
漁網を再生した素材を使用した製品があれば「選びたい」と回答した人は69.5%にのぼりました。
特に20代では「そう思う」との回答が他世代より多く、Z世代を中心に“環境配慮型プロダクト”を選ぶ購買意識が高まっていることが見て取れます。50代、60代でも「ややそう思う」が高い割合となり、広い世代で漁網の再生素材を使用した製品が受け入れられる傾向にあることがわかりました。
5. 日本各地の漁業者が、海の環境を守るために漁網リサイクルに協力していることに「良い印象を持つ」と答えた人は78.1%、 「応援したい」と答えた人は92.1%に達しました。
同社では、日本各地の漁業者の皆様に協力いただき、廃棄漁網を回収しています。現在で本州を中心に26拠点へと拡大し、漁網の回収総量は1500トン以上となりました。こうした日本各地の漁業者が、海の環境を守るために漁網のリサイクルに協力していることについて、「良い取り組みだと思う」と43%の人が回答しており、「どちらかといえば良い取り組みだと思う」と回答した人と合計して78%となりました。
さらに、廃棄漁網をリサイクルする取り組みを応援したいと思う人は92%に達し、多くの人々が漁業者が海の環境を守る姿勢に共感していることが明らかになりました。
事業開始当初は、『本当にリサイクルできるのか』『手間が増える』という声もありましたが、現場で対話を重ね、共に仕組みをつくっていくことで、今では26拠点にまで拡大することができました。各地域の漁協や漁業者の方々、漁網メーカーや販売店の皆様のご協力がなければ、ここまでのネットワークは築けませんでした。
私たちが目指しているのは、「漁網は捨てるもの」ではなく「回収し、再び価値を生み出すもの」へと社会の認識を変えていくことです。ペットボトルがそうであるように、漁網も循環の象徴になりうると信じています。
今回の調査結果は、多くの人々が漁業者の努力やリサイクルの可能性に共感していることを示しました。これを励みに、より多くの漁業者・企業・消費者と共に、日本から世界へ広げていきたいと考えています。
REAMIDEⓇは使用済み漁網を主な原料とした高品質リサイクルナイロンペレットです。
自社で漁網を各地から回収し、回収後は洗浄及びフィルタリングをすることで徹底的に異物を除去します。
再生素材でありながら、バージン材(新品の原料)と比較しても遜色なく活用することができ、さらにCO2排出量を約85%削減することにもつながります。素材の供給安定性や物性も担保しており、コスト負担も大きな差がないことから、現在では建材や家電、アパレル製品、オフィス家具など、さまざまな用途で使われています。
また、静岡県の稲取や下田で漁網の回収・選別プロジェクトを実施し、漁網の回収の認知拡大や促進に取り組んでいます。
「誰にもない視点と技術で、未来の富をつないでいく」
20年以上前からサーキュラーエコノミーを実践し、様々な素材の再生・開発に取り組んでいます。オフィスや施設で大量に廃棄されるタイルカーペットを、水平循環型リサイクルを実現した再生素材 「リファインパウダー」にするため自社工場で回収・再生をおこなう事業や、廃漁網や廃車エアバッグから高品質リサイクルナイロンペレット「REAMIDE」(リアミド)に再生する事業を展開。2023年からは、鳥の羽根「フェザー」を原料にした新しいバイオ素材「ReFEZER」(リフェザー)を開発し新事業を開始するなど、ビジネスの力で循環型社会を実現するため事業の拡大と研究を行っています。
外務省 SDGsサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標14 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。 14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。 14.3 あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し対処する。 14.4 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。 14.5 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。 14.6 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する**。 **現在進行中の世界貿易機関(WTO)交渉およびWTOドーハ開発アジェンダ、ならびに香港閣僚宣言のマンデートを考慮。 14.7 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。 14.a 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。 14.b 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。 14.c 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。