世界の教育環境を変えるためにできることは?
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世界の教育環境を変えるためにできることは?

今回の記事では、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」について、世界の現状と目標達成に向けた取り組みを紹介します。

執筆者:太田 直希

今回の記事では、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」について、世界の現状と目標達成に向けた取り組みを紹介します。

教育は、貧困状況から抜け出し自立するために、特に効果的な手段の一つで、SDGsの中でも必要不可欠なものと考えられています。
目標の中でも、無償かつ公正で質の高い初等教育、中等教育を受けられること、また男性や女性などの区別なく、ジェンダー格差を無くしていくことなどが掲げられています。

これから、私たちができることは何か?を一緒に考えていきましょう。

日本では、小学校から中学校までの9年間が「義務教育」として国の制度で導入されており、当たり前のようにすべての子供たちが教育を受ける権利を持っています。
日本で育った私は、当たり前のように大学まで進学させて貰いましたし、時には嫌々ながら通学していた時期もありました。

一方で世界をみてみると、国際連合広報センターのSDGs報告2019では

・最低限の読み書きと算術の習得ができていない子供と思春期の若者が6億7100万人
・読み書きができない成人が7億5000万人(そのうち3分の2は女性)

と報告されています。

世界人口が約77億人ですから、おおよそ「5人に1人」は、必要最低限の読み書きの教育さえも受けることができていないのが現状と言えます。

地域別での格差もあり、初等教育の修了率でみると、東アジアやヨーロッパ、中南米諸国の先進国では90%を超えているのに対して、南アジア、サブサハラ・アフリカ諸国、中近東・北アフリカ諸国などの国では中途退学率がいまだに高いのが現状です。

では、当たり前のように教育を受けることができる日本と何が違うのでしょうか?

国や地域によって多少の差はありますが、大きな要因としては、「そもそも学校がない」「教育にかけるお金がない」「先生がいない」「戦争」などがあり、親の教育に対する認識の欠如、また子供が労働力の一端を担っているために教育にかける時間とお金の不足、学ぶ環境が整備されていないことが原因として挙げられます。

【岡山大学×SDGs】 ESDの教師教育推進に向けた国際研究拠点の構築

<ESDの教師教育>
「持続可能な開発のための教育(ESD)」を実践する教育者・指導者の育成に注目した活動で、岡山大学はアジアで唯一のESDのユネスコチェアならびに国連大学認定の岡山RCE(ESDの地域拠点)の主要機関として、ESDの教師教育を積極的に推進しています。

特にアジアを中心として、中国、韓国、モンゴル、インドネシア、ラオス、ミャンマーなどの教育の拠点機関と連携しながら教師教育のプログラムの開発を進めています。

この取り組みで期待される成果として、下記を挙げています。
(1)ESD教師教育の中核的な研究交流拠点の確立
(2)ESD教師教育の学術ネットワークの構築
(3)次世代のESD教師教育の研究者の育成の実現

これらの成果によって、将来的にアジアにおけるESDの教師教育推進の基盤が形成され、広く普及していくことが期待されています。

「みんなの学校プロジェクト」は、JICAが2004年から推進してきた、教育行政、学校、地域コミュニティが協働し、子どもたちの学びの場をつくる教育開発プロジェクトです。

サハラ以南アフリカでは、10歳以上の約6割の子どもたちが、読み書きや計算の基礎が身についていない状態でした。
この教育環境を改善するため、1990年代後半から教育行政改革に取り組んできました。まずは学校運営の権限を、政府から教員や保護者、地域住民で構成される「学校運営委員会」に移し、学校運営委員会を中心とした教育開発の取組みに着手しました。


しかしこの制度改革だけでは、地域住民にとって学校は心理的に遠い存在のままで、住民や教員が積極的に協働する仕組みづくりとして、「みんなの学校プロジェクト」がスタートしました。

活発な活動を促すために、まず委員は匿名選挙で選出し、運営の透明性のため学校、保護者、委員会の間での情報共有、活動計画や実施も自ら取り組むようなプロセスに変えることで信頼関係を築くことができました。チームでの活動がより加速し、地域への教育を根付かせることに成功し、入学率が向上しました。


2004年のニジェールの23校から始まり、アフリカ全土で4万校にまで活動が広がっています。
子どもたちの将来をより良くしたいという地域住民、教員、保護者の想いが教育環境を大きく変えた一例と言えます。

SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」をテーマとして書いている中で、日本で受けている教育は世界では当たり前ではなく、恵まれた環境にあるのだと改めて気付かされました。

それでは私たちにできることは何でしょうか?

学校を建てるための募金活動、貧困や飢餓に苦しんでいる地域への支援、戦争で苦しんでいる地域への支援など、できることはたくさんあると思います。
ただ今回のみんなの学校プロジェクトのように、周りを巻き込んでチームで活動することで大きな成果を得られることもあります。

まずは教育の現状を知って、それを周りの家族や地域の人と共有しながら、何ができるかを考えていくことで、SDGsを実現するためのもっと大きな活動の一歩になるかもしれません。

・国際連合広報センター
・岡山大学×SDGs 取組事例
・独立行政法人国際協力機構 アフリカ4万校に広がる「みんなの学校プロジェクト」