産業と技術革新の基盤をつくる重要性と具体的取り組み
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産業と技術革新の基盤をつくる重要性と具体的取り組み

なぜこの目標が大事なのか。そしてこの目標に対してどのような取り組みがなされているのかを、ご紹介していきます。

執筆者:國分 康郎

SDGsの目標の9番目に「産業と技術革新の基盤をつくろう」があります。
なぜこの目標が大事なのか。そしてこの目標に対してどのような取り組みがなされているのかを、ご紹介していきます。

産業とは、人々が生活するうえで必要とされるものを生み出したり、提供したりする経済活動のことです。
日本では製造業が基幹産業であり、海外でもそれぞれの国で主要な産業があります。
それぞれの国で異なる産業を主軸にしていますが、共通していることは、各国が維持・発展していくために必要なものということです。

また技術革新とは、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味します。
つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて、新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことです。

近年ですと、iPhoneやAirbnb、Facebookがその代表例として挙げられ、これらの新しいテクノロジーの登場により、確かに私達の価値観やライフスタイルは大きく変わりました。

それではなぜ、産業や技術革新の“基盤づくり”が必要なのでしょうか。

それは、まだ世界196ヶ国に残る経済状況に不平等を解決し、産業や技術革新によってSDGsの理念である「地球上の誰一人取り残さない(leave no one behind)」を実現するためです。
基盤とは、物事を成立させるための基礎となるもので、私達にとっては通信設備や衛生施設などのインフラがこれにあたります。

現在、信頼できる電話サービスを利用できない人々は12 億人程度に上ると見られており、全世界で23億人が基本的な衛生施設を利用できず、ほぼ8億人は水へのアクセスがありません。
開発途上国では、産業的な加工を経た農産物が全体のわずか30%程度にすぎません。

このような生活基盤が整っていない状況を改善し、新産業の発展や技術革新を起こす環境を整えることが重要なのです。

それでは、具体的にどのような取り組みがなされているのでしょうか。
日本では大手企業だけでなく、大学や市町村でもSDGsに取り組んでいます。

SDGs活動の一例として、日本企業のNTT西日本の「ドローンを活用したインフラ点検」が挙げられます。
これは、インフラを維持する技術者が減少傾向にある中で、老朽化が進む公共インフラを効率的にメンテナンスすることで、通信環境を長くよい状態に保つ取り組みです。

また、海外ではイタリアとスペインのスタートアップ企業Watlyによって、「Watly」というソーラーマシンが開発されました。
Watlyは1日に約5,000リットルのきれいな水を提供するだけでなく、電気の供給もできます。
Watlyで充電できるw-lightというデバイスがあれば、30時間もの間ポータブルのライトを利用できます。
また、インターネットも提供可能なため、教育や通信環境の向上にも貢献しています。

今回ご紹介した事例以外にもSDGsへの取り組みはたくさんあり、具体的な事例を知れば知るほど、大手企業や国などの組織だけでなく、ベンチャー企業や学校など、組織の大小関係なく取り組める活動であると感じています。

なによりSDGsの活動を通して、自分達にも利益をもたらし、次世代にも住みよい世界を創ることができます。
これらの活動を支え、誰一人残さない世界をつくるために、産業と技術革新の基盤づくりに取り組んでいきましょう。

・国際連合広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)報告
・外務省 持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割
・国連広報センター 産業と技術革新の基盤をつくることはなぜ大切か
・NTT西日本 ドローンによるインフラ点検サービスを提供する新会社「株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク」を設立
・Watly: The computer that provides clean water, energy, internet access