災害に強い都市とは?住み続けられるまちづくりに私たちができること
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【SDGs目標11】災害に強い都市とは?住み続けられるまちづくりに私たちができること

SDGsの目標11は「住み続けられるまちづくりを」(Goal 11 : Sustainable cities and communities)です。この目標は、安全で災害に強い都市を作ること、災害などがあっても早く回復できる持続可能なまちづくりに着目した目標です。(2020年10月19日更新)

執筆:佐藤 加奈

今回は、「災害に強いまちづくり」に注目して、日本の取り組みや世界の取り組みを通し、私達にできることは何か、一緒に考えていきましょう。
目標11「住み続けられるまちづくりを」のターゲット

外務省 SDGsサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
11.1 2030 年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11.2 2030 年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11.3 2030 年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
11.5 2030 年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
11.6 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
11.7 2030 年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
11.b 2020 年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組 2015-2030 に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
11.c 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。

先にも述べましたが、SDGsの目標11は「住み続けられるまちづくりを」です。都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にするという目標のもと、スラムの改善や公共交通機関の拡充、文化遺産・自然遺産の保全、災害に強い都市開発を目指します。

SDGsの目標を見ているとよく見かける「レジリエント」という言葉は、「強靱さ」と訳され、強くしなやかという意味を持ちます。

つまり、壊れない強さではなく、壊れてしまってもすぐに回復する強さの事を言います。
災害に強い都市というのは、災害に見舞われてもいち早くもとの状態に回復できる都市であるということを暗に示しているのです。
安全に住み続けていくには大切な要素ですね。

では、災害に強い都市開発のために日本ではどのような取り組みを行っているのでしょうか?

日本は、世界の中でも自然災害が発生しやすい国と言われています。阪神・淡路大震災や東日本大震災といった「地震」、津波や台風、大雨といった「水害」など、過去に多くの災害に見舞われてきました。そのため、これらの教訓と復興経験から、日本は災害に対する技術が発達しています。

①免震レトロフィット(株式会社横河ブリッジ)

建物と地盤の間に装置を設置し、地震の揺れを建物に直接伝えないようにすることを「免震」といいます。
その中でも、すでに出来上がっている建物を免震化することを「免震レトロフィット」と言います。

歴史的に価値のある建物や移転や新しく建て直すことが難しい建物を、今の状態を維持しながら免震化することは、繊細で精密な技術が必要です。
ここでは、免震装置と建物の間にジャッキを入れ、免震のために使用されるゴムを変形させてから建物の重みを受けかえる工法によって、既存の建物への影響を最小限にしながら免震化することが出来るようになりました。

②衛星全球降水マップによる洪水災害対策(JAXA)

事前に行った洪水の予測データに基づき、住民へ警告し、避難情報を直接送信することで洪水に備えるという取り組みです。

地上のデータのみを利用した場合、国際河川(※)では水位等の情報共有が難しいため、衛星データが有効の場合が多く、これら2つのデータを合わせることで洪水が起こる数日前に予測を可能としています。
※国際河川 … 数カ国の国境になっている河川や、数カ国にまたがっている河川で、条約により各国の自由な航行が認められているものを指します。

この取り組みにより、バングラデシュでは、上流の河川で発生した洪水の下流地域への到達に数日かかることから、この予測により、事前に農作物を収穫するなどの対策を行うことが出来るようになりました。

世界では、災害を事前に予測する取り組みが行われています。
例として、火山による災害からまちを守るための取り組みをご紹介します。

火山からまちを守る、火山監視プラットフォームMOUNTS(ドイツ)

世界には1500もの活火山が存在し、多い年で85回も各地で噴火しているにも関わらず、半数以上が監視されていないという状況です。そこで、ベルリン工科大学とGFZドイツポツダム地球科学研究センターが率いるプロジェクトでは、火山監視プラットフォームMOUNTS(Monitoring Unrest from Space)を作りました。
複数の衛星センサーや機械学習などを活用して、火山を監視し、火山の噴火の前兆や噴火したときの影響を予測出来るようにしています。

さて、ここまで日本と世界の取り組みについてご紹介しました。
それでは、私たちが日常生活を送る上で出来ることは何でしょうか?

筆者が考える私たちが日常生活を送る上で出来ることの例を4つ挙げてみます。

①家具の置き方を工夫する
突っ張り棒や衝撃吸収用のパッドを活用するだけでもかなり変わります。
100円ショップでも購入できるものも多数あります。

②避難経路を確認する
災害が起こった際、どこへ避難したら良いか、予め確認しておくようにしましょう。
どこへ避難したら良いか、知っているだけでも、もしものときに落ち着いて対応できるようになります。

③連絡の方法を決める
災害用伝言ダイヤルをご存知ですか?
「171」に掛けると伝言を録音でき、電話番号を知っている家族などがその伝言を聞くことができます。
災害が発生した場合は、携帯電話が繋がりにくくなるため、活用すると良いでしょう。

◀首相官邸 災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~

④飲料や食料の備蓄や非常持ち出し用のバッグなどの用意をする
災害など有事の際に、私たちが普段日常生活に利用しているものをすぐにそのまま持ち出すための『非常持ち出し用バッグ』を用意しておくと良いでしょう。
「備蓄の量は1週間分が望ましい」と言われています。適切な量の飲料や食料の備蓄を行いましょう。
また、それらを備えるようにしておくことを常日頃から意識することで、いつの間にか賞味期限切れで利用できない、という事態も防ぐことができます。

災害に強い、レジリエントなまちづくりには私たちの行動も必要不可欠です。
もしものために確認しておく、備えておく。

出来ることから始めてみましょう。

・一般社団法人SDGs支援機構
・国際連合広報センター 2030アジェンダ
・株式会社横河ブリッジ 免震レトロフィット
・国立研究開発法人 科学技術振興機構 衛星全球降水マップ 洪水災害対策
・火山の監視に適した「人工知能」(英文サイト)