食品ロスを減らすカギ「フードシェアリング」と私たちができること
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食品ロスを減らすカギ「フードシェアリング」と私たちができること

「食品ロス」とは食料廃棄のうち、まだ食べられるのにも関わらず廃棄されてしまう食品のことです。具体的には、野菜や果物の皮むきなどで食べられる部分まで除去してしまう「過剰除去」、「食べ残し」、賞味期限や消費期限切れによる「直接廃棄」などが挙げられます。

執筆者:佐藤 加奈

「食品ロス」という言葉をご存知でしょうか?

「食品ロス」とは食料廃棄のうち、まだ食べられるのにも関わらず廃棄されてしまう食品のことです。
具体的には、野菜や果物の皮むきなどで食べられる部分まで除去してしまう「過剰除去」、「食べ残し」、賞味期限や消費期限切れによる「直接廃棄」などが挙げられます。

さて、SDGsの目標12は「つくる責任、つかう責任」です。

今回は、食料廃棄の現状と、国内・世界の取り組みについてご紹介します。
普段の生活で私たちができることがないか、一緒に考えていきましょう。

SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」は「持続可能な生産消費形態を確保する」とも言い換えられます。

内容としては、天然資源の管理や、化学物質・廃棄物などの大気、水、土壌への放出の削減、食料廃棄の削減など、生産と消費に関連のある課題がこの目標の主なターゲットです。
どの課題も重要なものですが、その中でも特に私たちの生活に直結しているものは食料廃棄に関する課題でしょう。

では、私たちは普段どのくらいの食品を廃棄しているのでしょうか?

・食料廃棄約 2,759万トン
・食品ロス約 643万トン
〔引用:農林水産省 食品ロス量(平成28年度推計値)の公表について〕

これは平成28年度における日本国内の食料廃棄と食品ロスの量です。国民一人あたりに換算するとお茶碗1杯分の食料を毎日捨てているのと同じことになります。
この食品ロスの量は、世界の食糧援助量(平成29年では年間約380万トン)の1.7倍に相当します。

また、食品ロスの内訳(平成28年度推計値) は以下のように報告されています。

・事業系の食品ロス362万トン
・家庭系の食品ロス291万トン
〔引用:環境省 食品廃棄物等の利用状況等(平成28年度推計)〕

食品ロスの約半分が家庭から出ているのがおわかりでしょうか?
私たちの生活にも意識して変えていけるところがありそうです。

ちなみに、世界全体でみると生産されている食料約40億トンに対して食料廃棄は約13億トンと推計されています。
人のために生産された食料の約1/3が廃棄されているという現状なのです。

それでは日本と世界ではどのような取り組みが行われているのか見ていきましょう。

①フードシェアリングサービス(株式会社コークッキング、SHIFFT株式会社など)
閉店時間や賞味期限などの理由で廃棄せざるを得ない食品をテイクアウトできるシェアリングサービスです。
食品ロスが出る場合に飲食店が出品するので、毎回同じメニューを注文できるとは限りません。
しかし、メニューにない料理を楽しめたり、訪れたことのない飲食店で食料品を購入できたりします。
これによって、飲食店は出る食品ロスの量を抑えることができ、サービスの利用者はリーズナブルに購入することができるのです。

②食品ロスになりそうな食材を使用したレシピの公開(徳島県、横浜市、岡山市などの地方公共団体)
多くの地方公共団体では、食品ロスを削減するためのレシピの公開や料理教室、料理コンテストを行っています。
調理法やアイデアを共有することで、家庭から排出される食品ロスの量を減らすよう働きかけています。

③「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」の成立
SDGsの達成に向けて、2019年5月に国会で可決されました。
主な内容は下記の4つです。
1 )政府が食品ロスの削減推進に向けた基本方針を策定すること
2 )内閣府に「食品ロス削減推進会議」を設置すること
3 )政府や自治体がフードバンクへの支援をはじめとする各種施策を講じること
4 )毎年 10 月を食品ロス削減月間とすること
〔引用:みずほ総合研究所 食品ロス削減の強化に向けた動き〕

この法律の成立により、今後より一層、国内全体で食品ロス削減に向けた動きが活発になると考えられます。

・フードシェアリングサービス
実は、海外では日本に先駆けてフードシェアリングを実施しているのです。
「Too Good To Go」は2016年からデンマークを中心とした11カ国で展開しており、飲食店・小売店と消費者をつなぐサービスの中でも大規模なサービスへ成長しています。
サービスの内容としては、日本で行われているものとほぼ同様で、飲食店や小売店で余った調理品をアプリで購入し、テイクアウトできるようになっています。

また、アメリカではチャリティ組織向けのフードシェアリングのサービスが行われています。飲食店等とフードバンクをつなぐプラットフォームを提供しており、フードバンクが食料困窮者と食料を繋ぐ仕組みとなっています。
※フードバンク:食品企業の製造工程で発生する規格外品などを引き取り、福祉施設等へ無料で提供する活動や団体のこと

食品ロスを削減するため、世界的にはフードシェアリングのサービスに取り組まれているところが多いようです。
では、私たちが身近にできることは何でしょうか?

・不必要な量の食料品の購入は避ける
・消費期限、賞味期限の違いを理解し、期限内に食べきる
・調理方法を工夫して、過剰除去を減らす

ここで挙げたのはあくまで一例です。
普段の生活の中で、どうしたら食品ロスを減らせるか。意識して考えてみると良いかもしれません。

・消費者庁 食品ロスについて知る・学ぶ
・環境省 食品ロスポータルサイト
・World Food Programme
・富士通総研 食品ロス削減対策:フードシェアリングサービスがもたらす社会的価値
・株式会社コークッキング フードシェアリングサービス
・岡山県 循環型社会推進課 食品と家計のもったいないを減らすための取組を推進
・Too Good To Go