SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」~時代にそぐわない「『寝た子を起こすな』の性教育」を変革~
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SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」~時代にそぐわない「『寝た子を起こすな』の性教育」を変革~

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」(Goal5: Gender equality)は、性犯罪に巻き込まれる子どもが増えている今、 女性と女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃することを目指した目標です。今回の記事では、就学を控えた5歳児に「体と命の大切さを学ぶ性教育」を長年実施してきたどろんこ会グループの取り組みをご紹介します。

国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。
5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。
5.4 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
5.6 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
5.a 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。
5.b 女性のエンパワーメント促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。
5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性及び女子のあらゆるレベルでのエンパワーメントのための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。
このように、SDGsの目標5は性差別を撤廃し、女性や女児が弱い立場ではないという意識付けを老若男女問わず行うことを目的としています。

子どもの性教育には賛否両論ありますが、 性犯罪に巻き込まれる子どもが増えている今、 「『寝た子を起こすな』の性教育」では子どもの体や命は守れません。

今回の記事では、就学を控えた5歳児に「体と命の大切さを学ぶ性教育」を長年実施してきたどろんこ会グループの取り組みをご紹介します。
そもそも『寝た子を起こすな』という言葉は、差別問題によく出てくる『ことわざ』で、「やっと寝付いて寝てる子をわざわざ起こして泣かせるな」ということから、「余計なことはするな」「“差別”を知らない子にわざわざ“差別”を教える必要はない」という意味です。

「“差別”というものが存在する」ということを知っているからこそ、意識して生まれてしまう“差別”があるように、意識しなければ生まれない“差別”も同様にあるでしょう。
しかし、SNSをきっかけとした児童ポルノの被害児童は、年々増加傾向(※)で、親や身近な大人が正しい性の情報を伝える前に、アダルトコンテンツに子どもが感化されてしまう可能性も否定できません。
(※)「令和元年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況 警察庁生活安全局少年課」

そうなってしまう前に、そういうことが起きてしまう前に、しっかりと正しい知識や意識を学び、体や命の大切さをよく理解することが大事なのです。

このような社会問題の解決と、女性と女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃することを目指したSDGs「5.ジェンダー平等を実現しよう」の目標にも寄与するため、古い性教育の考え方を変革する性教育の取り組みを発信しているどろんこ会グループの事例をご紹介します。
どろんこ会グループ(本社:東京都渋谷区)が運営する保育園では、就学を控えた5歳児を対象に「体と命の大切さを学ぶための性教育」を、2004年より毎年行っています。
どろんこ会グループ(社会福祉法人どろんこ会、株式会社日本福祉総合研究所、株式会社ゴーエスト、株式会社南魚沼生産組合)は全国約130箇所の認可保育園、事業所内保育所、児童発達支援センター、子育て支援施設等を運営しています。

幼児期の性教育は「体っていいな」「命ってすごいな」が基本

「男の人や女の人の体の仕組みはどうなっているの?」「赤ちゃんはどうやって誕生するの?」など幼児期に自然に芽生える疑問を、「そんなこと聞いちゃダメ!」といやらしいものとするのではなく、大人が「本当のこと」「命が生まれてくることは素晴らしいこと」と伝えることができれば、子どもたちには「体って、命って大事なんだ」と自分や周りの人の体も命も大切にしていこうという気持ちが芽生えてきます。
【幼児期の性教育の意義】
1.アダルトコンテンツなどからの歪んだ性情報にさらされる前に、ストレートに正しい知識を伝えることができます。
2.性に関して、プライベートなことであるけれど周りの大人に相談していいのだという安心感を与えることができます。
3.命の大切さや、自分の存在の肯定(自尊心)、周りとの共生を学習し、自立へとつなげることができます。

どろんこ会グループの性教育
<第1回>体の不思議と大切さ
・「木製人体パズル」を使って女の子と男の子の体の違いを知る
・パネルを使って「プライベートゾーンの大切さ」を伝える
・「プライベートゾーン」は「人に見せるものではなく、『見せて』と言われたら『いやだ』と言わなければいけないところ」と教える
パネルを使って「プライベートゾーン」の大切さを教える

パネルを使って「プライベートゾーン」の大切さを教える

人体パズルを使って体の違いを知る

人体パズルを使って体の違いを知る

<第2回>大きくなった喜び ・命の誕生
・絵本を使って受精から出産の「命の誕生」を教える
・紙に針で開けた小さな穴をすかして、 「卵子」の大きさを知る
・1ヶ月から10ヶ月まで、実際の胎児のサイズ・重さを模した人形を使い、お腹の中で赤ちゃんが育つ様子を知る
紙に針で穴をあけて「卵子」の大きさを知る

紙に針で穴をあけて「卵子」の大きさを知る

胎児人形を使って赤ちゃんが育つ様子を知る

胎児人形を使って赤ちゃんが育つ様子を知る

※上記内容は、「国際セクシュアリティ教育ガイダンス 科学的根拠に基づいたアプローチ ユネスコ編(2020年 明石書店)」においても、5~8歳児の学習目標として記載されています。
どろんこ会グループ
https://www.doronko.jp/