産業ガス市場世界シェア4位を誇る企業が世界初・日本生まれのステンレス魔法びんを開発!?
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産業ガス市場世界シェア4位を誇る企業が世界初・日本生まれのステンレス魔法びんを開発!?

【目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」】日本酸素ホールディングスは、コロナ禍で需要が高まる酸素をはじめとする、各種産業に必要不可欠な産業ガスの供給を行っています。実は人々の生活に身近な存在であり、社会に貢献していることをご紹介します。

目次
■ 産業ガスと我々の生活との関わりとは? >>
■ 日本酸素ホールディングスの優位性は?>>
■ コロナ禍における日本酸素ホールディングスの役割とは? >>
■ 産業ガスが環境負荷低減に貢献する点は?>>
■ 目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」とは?>>

日本酸素ホールディングスは、日本、米国、欧州、アジア・オセアニア各地域で、鉄鋼、化学、自動車、エレクトロニクス等あらゆる産業分野に向けて、酸素・窒素・アルゴンを中心とした産業ガスを製造・供給しています。加えて、同社がこれまで培ってきた技術力を通じて、ガスの供給のみならず、お客様の課題解決につながるガスソリューションを提供しています。産業ガス市場の世界シェアは第4位、国内シェアは第1位です。

同社の事業内容や産業ガスについて人事・秘書室広報部広報部長梅原崇禎さんに伺いました。

生活に密着したところでは、炭酸飲料の炭酸、コンビニやスーパーの惣菜のフィルム容器の中にも鮮度保持のために窒素が入っています。その他にも、ノルウェーサーモンやウナギの養殖の際に、生育促進のために生け簀の中に供給される酸素も同社で扱っています。
また、パソコンやスマートフォン、自動車など皆さまが毎日利用するような身近な製品に組み込まれている「半導体」にも、製造過程で電子材料ガスを中心とした産業ガスが使用されています。最終的な製品に影響を与えないよう、ガスの供給配管の材質にも気を配っています。

このように、多種多様な分野で産業ガスは人々の生活に関わっています。産業ガスについて理解を深めてもらうために、採用活動など対外的に当社事業を説明する際、「我々の事業は“産業の血液”である」と説明すると、より事業の重要性をイメージしていただけます。

また実は、魔法びんやタンブラーで有名な「THERMOS (サーモス)」も当社事業の一つです。一見、産業ガスとは関係がなさそうに思えますが、極低温である液化ガスを運搬・貯蔵するタンクは低温を維持するために真空断熱技術が使われており、まさに「巨大な魔法びん」です。こうした技術を応用し、1978年に世界で初めての高真空ステンレス製魔法びんを開発・発売しました。

産業ガスは、元素を売っているという特性上、モノとしての差別化が難しい商材です。そのため、“いかに各地域に根を張って、お客様との信頼関係を築き、安定供給および課題解決に貢献できるか”という点が重要になります。いわば地産地消のビジネスの中で、当社では日本をはじめ、米国、欧州、アジア・オセアニア各地域にてグローバルにビジネスを展開できていることが優位性になっています。

日本酸素ホールディングスでは、産業ガス事業のサブセグメントとして、メディカル事業を展開しています。医療機関向けの酸素をはじめ、窒素、炭酸ガスなどの医療用ガスを供給しています。コロナ禍においては、呼吸向け酸素の重要性が増しており、世界中で “ガス生産工場を止めない”ということを大切な役割と認識し、従業員の感染対策を徹底した上で酸素の供給に努めています。

またコロナ禍の巣ごもり需要の拡大に伴って増えている宅配向け冷媒用ドライアイスの供給でも、大きな役割を果たしています。サーモスでは、屋外だけでなく室内での生活も快適にすべく、真空断熱タンブラーやフライパンなど家庭内製品のラインナップを拡充し、提供しています。

例えば燃焼分野においては、長年培ってきた酸素富化燃焼技術により、燃焼時の化石燃料の使用を抑えることで、温室効果ガスの削減に役立っています。また食品分野では、窒素ガスの封入によって食品鮮度を維持することにより賞味期限を延ばし、食品ロスの削減につなげ、廃棄の際に生じる温室効果ガス低減に貢献しています。

このように、当社の産業ガスを使用することで、顧客の環境負荷低減を促進し、カーボンニュートラル社会を実現する手助けをしています。一方で、産業ガスの主要商材であるエアセパレートガス(酸素・窒素・アルゴン)を製造する工程では多くの電力を消費しています。この製造工程で発生する温室効果ガスの排出削減は重要課題と認識しています。

SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?

国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及び イノベーションの推進を図る
9.1 すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。
9.2 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030 年までに各国の状況に応じて雇用及び GDP に占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同 割合を倍増させる。
9.3 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融 サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。
9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プ ロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。 すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
9.5 2030 年までにイノベーションを促進させることや 100 万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじ めとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上さ せる。
9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テ クノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジ リエント)なインフラ開発を促進する。
9.b 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開 発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。
9.c 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020 年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。