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サラヤが考えるSDGs 半世紀以上も前から社会問題に取り組んでいたSDGsの先駆け企業

【#9 SDGs fanレポート】半世紀以上も前から社会問題に取り組んでいたSDGsの先駆け企業サラヤさんにSDGs fanがお話を訊きましたのでご覧ください。

目次
■ 赤痢という伝染病が切っ掛け >>
■ ヤシノミ洗剤では水質汚染に配慮 >>
■ 森林伐採の問題へも積極的に取り組む >>
■ 第1回ジャパンSDGsアワードで受賞 >>
■ 目標14「海の豊かさを守ろう」とは? >>

消毒剤や洗浄剤、医薬品、食品を製造する化学・日用品メーカーであるサラヤ株式会社。今回SDGs fanはサラヤさんに直接話を訊く機会があったのでSDGsの取り組みなどについで伺ってみました。



サラヤ株式会社が出来た1952年は戦後間もなく赤痢という伝染病が流行っていた頃だそうです。
そんな伝染病をどうしたら良いのでしょうか? 今であればワクチンや治療薬の開発に取り組みますが、それらは大きな資本が必要となりますし、戦後の日本は貧しかったのでワクチンや治療薬が出来ても、手に入れられるのはごく僅かだったと言います。そこでサラヤさんは「全ての人が平等に病気の脅威から逃れられる手段」を考えました。それが新型コロナウイルス感染症が流行している今でも行われている手洗いです。まさにSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」です。

手洗いに必要不可欠なのが、石鹸。ただ当時の日本は物がない時代だったので固形の石けんを置いておくと盗まれてしまったと言います。また色んな人が使うので石けんが汚れてしまい不衛生。それならばと、手洗いと同時に殺菌・消毒が出来る殺菌剤入りの手洗い石鹸液と押し上げ・押し出し式の専用容器を開発・販売を開始しました。公衆トイレなどでよく見かける緑色の石鹸液はサラヤさんのものです。

今では日本のみならず世界の医療施設、福祉施設などのプロの現場でも多く使用され、家庭用の製品も販売しているのがサラヤさんです。

実はヤシノミ洗剤は発売から50年以上も経っています(発売は1971年)。ヤシノミ洗剤が作られた背景にも、社会問題がありました。当時は日本の高度成長期で、大きな問題になっていたのが河川の汚染問題だったのです。その原因とされたのが、石油系合成洗剤です。サラヤの創業者は、「洗剤という物を綺麗にするはずの製品が環境汚染している、これは良く無い」と思い、環境を汚さない植物性の洗剤であるヤシノミ洗剤が作られました。

また、今では当たり前の詰め替えパックも、石油資源の省資源化とプラスチックゴミの削減を目指して日本で初めて台所洗剤用にと開発・販売したのはサラヤで、常に環境に配慮しています。

また、サラヤさんはヤシノミ洗剤の洗浄成分の濃度にも拘っています。当然、洗浄成分が多ければ油汚れが落ちやすいですが、環境や手肌への負担が高くなります。そのため、一度に大量の洗剤を使うのではなく、洗い物の量や汚れ具合に応じて、注ぎ足しながら適切な量を使うことをユーザーに推奨しています。

まさにSDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」、目標12「つくる責任 つかう責任」に当てはまることを1970年代から行っていたわけです。今でこそ地球に優しいやエコは当たり前ですが50年前の1970年代から取り組んで居たのは驚きです。

ヤシノミ洗剤特設サイト:https://www.yashinomi.jp/

ヤシノミ洗剤は、原料の一つに「パーム油」を使用しています。パーム油は「植物油」と記載されることも多く、インスタント麺やポテトチップスなど、85%が食用として世界中で使われています。その一方、生産地のマレーシアやインドネシアでは、パーム油生産のため大規模な森林伐採などの環境問題や、違法労働などの人権問題が起こっています。世界では、食用油の問題とされていますが、サラヤさんは、全体からみれば微量であっても、自社製品の原料の一部に使っているという責任から、日本企業として初めてパーム油の問題に正面から取り組みました。人権や環境などに配慮した、持続可能なパーム油産業のあり方を話し合う国際会議「RSPO」に日本に籍を置く企業として初めて加盟。家庭用の石鹸や洗剤などには100%RSPO認証を取得しています。また、マレーシア・ボルネオ島では現地政府やNGO、生物学者らと共に、熱帯雨林の保全と野生の動植物の保護活動にも取り組んでいます。

SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」です。



そんなサラヤさんの活動が認められ、2017年には「第1回ジャパンSDGsアワード」にてSDGs推進副本部長(外務大臣)賞を受賞しました。SDGsという言葉が出来る半世紀も前から取り組んできたサラヤさんにようやく世界が追いついたという形でしょうか。
またSDGsの目標には番号がついていますが、サラヤさんはSDGsの番号を目標とするのではなく、社会問題の解決にビジネスを通じて取り組んでいます。

URL:https://sdgs.saraya.com/

外務省 SDGsサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標14 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
14.3 あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し対処する。
14.4 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
14.5 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
14.6 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する**。 **現在進行中の世界貿易機関(WTO)交渉およびWTOドーハ開発アジェンダ、ならびに香港閣僚宣言のマンデートを考慮。
14.7 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
14.a 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。
14.b 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
14.c 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。