レゴジャパンが寄付総数3000セット以上のレゴ®ブロック支援 オンラインワークショップも開催 その支援の背景は?
レゴジャパンとNPO法人フローレンスが総数3000セットを寄付したことについてSDGs fanが取材しました オンラインワークショップなどについても伺いました
レゴ®ブロックと言えば世界中の人が知っているおもちゃ。数々のコラボレーションを行っておりゲームにもなっています。もはやレゴ®ブロックに触れないで生活するのは難しいくらいです。そんなレゴジャパンが認定NPO法人フローレンスとの取り組みで、経済的な問題やコロナ禍でさらに厳しい状況に置かれている子どもたちへの支援として、寄付総数3000セット以上のレゴ®ブロックをプレゼント、またオンラインワークショップも行っています。
2021年12月に内閣府から発表された調査「令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書」では、「ひとり親世帯」「母子世帯」の50%以上が現在の暮らしについて「苦しい」と感じていると回答しているという状況もある中で、特にコロナ禍以降、食料や衣服が買えなくなる家庭も多いのではないでしょうか。
今回SDGs fanではレゴジャパンさまとフローレンスさまにお話を訊くことができましたので、是非ご覧下さい。
フローレンス:太田智子(みんなで社会変革業部 寄付担当 サブマネージャー )
レゴジャパン:橋本優一(シニアマーケティングマネジャー)
記者 貧困問題への取り組みとして認定NPO法人フローレンスさまと協力して3000セットのレゴ ブロックをプレゼントしていますが、過去にもこのような取り組みは行ってきたのでしょうか。
橋本(レゴジャパン) 過去にもこのような取り組みはあります。日本だけでなくこういった社会貢献活動自体は世界中で行われている活動となっています。この取り組みは、サステナビリティに関する取り組みの一つと考えております。我々レゴグループがサステナビリティに取り組むうえで、3つの大きな柱を立てています。まず、我々が主にターゲットとしているお子様が軸になっています。2つ目が環境です。それからピープルと呼んでいるのですが、広い意味での「人」に関するサステナブルなブランドとしてのインパクトをどのようにもたらせるのか。世界でビジネスさせて頂いている責任としてこの3つを戦略の柱として立てています。
その中で子どもという軸におきまして、色々な状況下において、遊びへのアクセスが難しいお子様に対しての支援に取り組んでおり、その具体的なアクションとして、我々レゴジャパンからフローレンスさまにアプローチさせていただきまして、協働させて頂いております。レゴブランドの1番と言って良いほど重要な価値に、ラーニングスループレー(Learning Through Play)つまり、「遊びながら学ぶこと」があります。「世界の明日を創造していく未来の担い手を育成する」ことがレゴグループのミッションであり、全ての子どもに「遊びながら学ぶこと」は必要であると考えております。その価値をレゴ製品を通して多くのお子様に届けることがレゴグループの使命です。
その上で、ラーニングスループレーが出来ない、阻害されているお子様に対して我々レゴグループ、そしてレゴジャパンができることを考え、SDGsのアジェンダといった意味合いだけではなく、ブランドとしての信念を届けるためにフローレンスさまとパートナーを組ませていただきました。
記者 ただ配るだけでなくワークショップなども実施しているのでしょうか。
橋本 「遊びながら学ぶ」ことを体験してもらって初めて我々の価値が伝わっていると考えており、お渡しした商品で実際に遊んでもらう機会もフローレンスさまと提供しております。
太田(フローレンス) レゴジャパンさまから2020年、コロナの影響で厳しい状況におかれている子ども達の支援をしたいということでお声がけいただきまして、一昨年度、そして昨年度にご一緒に活動をさせて頂いております。取り組みは大きく4つありまして、その内1つがワークショップです。まさに「遊びながら学ぶ」を体験出来るワークショップを、オンラインで昨年実施しました。6Bricksという6つのレゴ®ブロックを使ったもので、「こども宅食」の家庭向けに希望者を募り実施いたしました。
「こども宅食事業」とは、弊社が行っている事業の一つで、定期的に生活が厳しい家庭のご自宅に食品や日用品を配送、そのきっかけを作ってご家庭との繋がりを作って関係性を築きながら見守ってご家庭の変化を気づいたり本当にどんな支援が必要なのか専門的支援に繋いだりするという取り組みです。
ワークショップの結果、24世帯3歳から14歳の34名のお子様が参加していただきました。感想として、ワークショップという形で、どういうふうに遊ぶかというのを実際に教えてもらうことで、遊び方を発見できたということが嬉しかった、とてもリラックスできる雰囲気を作っていただいたという意見をいただくことができました。
記者 母子家庭世帯やひとり親世帯の子どもにプレゼントされたのでしょうか。
太田 ワークショップとは別にこども宅食を通して、レゴ®ブロックをお届けしたご家庭も、母子家庭や、ひとり親に限定している訳ではないのですが、比率としては高く、含まれるという形になると思います。こども宅食応援団を通じて、全国の団体にお届けるするスキームもあるという風にお話ししましたけれども、個々の団体によっては利用のご家庭が、ひとり親の方が多いということはあるかもしれません。
記者 今後もこのようなNPO団体と協力して支援を行っていくのでしょうか。
明日(レゴジャパン) 現在はフローレンスさんとの取り組みが中心で、ラーニングスループレーを広めるに当たって我々の力だけではやれることが限られるのでフローレンスさまが窓口になって頂き一緒に協働していきたい。ほかの団体さまとも視野にいれていますが現時点で一番注力している取り組みはフローレンスさまとの協働です。
太田 私たちとしても是非継続してより幅広い形でお取り組みをさせて頂けたらと思います。
記者 最後に支援を受けた子どもたちに何か一言お願いします。
橋本 今回このような機会を設けていただきありがとう御座います。このような取材をもって我々が普段行わせて頂いている支援が必要とされているお子様やご家族に届くために、メディアの力が必要だと思っています。様々な理由で支援が必要としているお子様やご家庭がある現実に対して、我々がサポートできることが少しでもあるはずだと考えております。
太田 「こども宅食」を通じてお届けやワークショップをやっている理由としては、行政の窓口に行って申請をすれば支援が受けられるという方法では、実際に助けてほしいという声を上げることができる人が限られていることが分かったためです。そこから、こちらから赴いて個別に食べ物や日用品をお届けし関係性を築く中で、本当に必要な支援は何なのか気づいて支援を行うというアウトリーチ型の支援にたどり着きました。支援が必要な状況にある時には、助けが必要だという声を上げてもいいと気づき、親御さんも子どもも声をあげられるようになっていきます。レゴ®ブロックを通じて、ブロックで遊んだり、ワークショップで社員さんと交流したりすることで、うれしいなという気持ちや困っていることを素直に出していいんだということに気づくことがその第一歩になりうると考えており、そうした貴重なきっかけを一緒に作っていただいていると思っております。今後もいろいろな家庭にそれを届けていきたいです。
以上のように、レゴジャパンとフローレンスは世の中の潜在的な支援を必要としているご家庭に対してもっと認知して貰いたいようです。この取材を通じて、私も支援してほしいという方が出てきて欲しいです。
SDGs目標12「つくる責任つかう責任」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。 12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。 12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。 12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。 12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフ スタイルに関する情報と意識を持つようにする。 12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。 12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。 12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境 への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。