ルレ・エ・シャトーが初のサステナビリティレポートを発行
2030年に向け、サステナビリティに関する3つの柱と15の目標を制定 ― 日本加盟メンバーから、「天空の森」と「扉温泉明神館」の取り組みを紹介 ―
世界の厳選された約580のホテル・レストランが加盟するルレ・エ・シャトーは、サステナビリティに関するアクションプランを発表し、2025年と2030年に向けた15の目標を設定した初のサステナビリティレポート『自然界と調和したおもてなしを求めて』を発行しました。本レポートでは、加盟メンバーのサステナビリティの取り組みを包括的に紹介し、天然資源の管理、環境保全、食文化の保存など、幅広い問題にフォーカスしています。
世界中の独立系ホテルとレストランが加盟するルレ・エ・シャトーは、長年にわたりサステナビリティに対して取り組んできました。2009年からEthic Oceanとパートナーシップを結び、「世界海洋デー」や「Food For Change」など、環境保全に向けた取り組みを実施するほか、2014 年にはユネスコにおいて「料理とおもてなしで世の中に貢献する」と宣言し、20のヴィジョンを掲げました。
そして、2015年に国連サミットで採択された、「誰一人取り残さない」持続可能な社会の実現のため、2030年を年限とする17 の開発目標「SDGs」。
ルレ・エ・シャトーでは、17の持続可能な開発目標のうち、「5.ジェンダー平等を実現しよう」「13. 気候変動に具体的な対策」「14. 海の豊かさを守ろう」など6つの目標に対して、積極的に取り組んでいます。そして今回、6つの開発目標に向かい、メンバーが一丸となって行動すべく、3本の柱と15の目標を設定しました。
1 環境保全
- 気候変動、水資源、生物多様性、プラスチック汚染に焦点を当てて、環境保全に努めます。
2 持続可能な料理
- 料理のライフサイクルを考慮し、地元のサプライヤーやサプライチェーン、食材遺産の保存を優先します。
3 ソーシャルエンパワーメント
- 社会的な観点から、男女平等、多様性、従業員の労働条件、ジオツーリズムおよび地域活動の重要性を強調します。
1) 年間平均エネルギー消費量を測定し、消費量削減のための対策を実施している施設の割合。 | 2021 年12%➝2025 年50%➝2030 年100% | |
2) エネルギー消費量削減のための行動計画を策定している施設の割合 | 2021 年70%➝2030 年 100% | |
3) 敷地内で生産された再生可能エネルギーの割合(太陽光、風力、地熱など) | 2021 年3%➝2025 年10%➝2030 年25% | |
4) 水の使用量をチェック、最適化し、削減するための行動計画を策定している施設の割合 | 2021 年45%➝2030 年100% | |
5) 生物多様性保全を強化するために、緑地の一部(森林、林、池など)を管理している施設の割合 | 2021 年73%➝2030 年 100% | |
6) 施設内のプラスチック製アメニティ/トイレットペーパー、ストロー、ボトル、 および飲料用容器を撤去した施設の割合 | 2021 年63% ➝2030 年100% | |
7) 有機野菜、 地元野菜、旬の野菜のみを使用している施設の割合 | 2021 年30%➝2025 年50%➝2030 年75% | |
8) 農家・生産者・サプライヤーが、世界保健機関の「5 つの自由」 | 2021 年64%➝2030 年100% | |
9) 生ゴミを個別に回収し、敷地内外で堆肥化している施設の割合 | 2021 年66%➝2025 年75%➝2030 年100% | |
10) 給与の上位10 位に占める女性の割合 | 2021 年42%➝2030 年50% | |
11) 平等、多様性、包摂に関する方針を定めている施設の割合 | 2021 年53%➝2030 年100% | |
12) 平等、多様性、包括性方針に関する研修セッションを実施した施設の割合 | 2021 年27%➝2030 年100% | |
13) 従業員にバランス良い健康的な食事を提供している施設の割合 | 2021 年69%➝2030 年90% | |
14) 社会的または環境的に関与している地元企業を支援している施設の割合 | 2021 年71%➝2030 年90% | |
15) 文化遺産の保護と地質調査について、ゲストにも関心を持ってもらうよう働きかけている施設の割合 | 2021 年45%➝2030 年65% |
今回発行したサステナビリティレポートでは、2021年に定めた60以上の指標に基づき、283件(加盟メンバーの約50%)が回答したアンケートのレポート結果を反映させています。このプロセスを継続させることで、毎年の進捗を測定、レポートすることが可能になります。この独自のレポートシステムを活用し、目標に向けた勢いを維持・発展させ、また、課題に立ち向かうより多くのメンバーをサポートしていきます。
天空の森 (鹿児島県)
深い森に囲まれた「天空の森」は、ミツバチにとって絶好の隠れ場所です。天空の森では、 希少価値の高い準野生のセイヨウミツバチを保護しています。ミツバチが必要とするスペースに細心の注意を払い、野生のミツバチとの競争を避けるために、森の中に巣箱を離して配置しています。また、天空の森で保護するミツバチは農薬を使わずに十分な飼料を得られることができ、かつ施設の有機野菜畑で受粉をしてくれるという相乗効果も生まれています。
扉温泉明神館 / ヒカリヤ ニシ(長野県)
長野県松本市にある「扉温泉明神館」「ヒカリヤ ニシ」では、自家農場での無農薬野菜の栽培と地産地消を推進しています。統括料理長の田邉シェフは、地域の小中学校の食育授業に講師として参加し、食育の推進に寄与しているほか、「自立心、探求心、感受性、積極性を高めてあげたい」という思いから、地域の親子を対象に食の寺子屋を実施しています。明神館も同じく、「養蜂」にも取り組んでおり、アトリエにて採取したハチミツを使用したスィーツを提供。そのほか、生ゴミを肥料としてリサイクルし、自家農場で活用する循環システムの導入や、環境に考慮した製品を使用するなど、地域環境の保全・整備、自然エネルギーの循環等に取り組んでいます。
1954年に発足したルレ・エ・シャトーは、世界中の厳選された580のホテルとレストランが加盟する非営利組織です。 ルレ・エ・シャトーは、強い信念を持ち、お客様と心のこもった関係を築きたいと願う個人経営のホテルオーナーやシェフによって支えられています。
ナパバレーのブドウ畑から、フランスのプロヴァンス地方、インド洋にちりばめられた数々の美しいビーチ、そして伝統的な日本の温泉旅館まで、ルレ・エ・シャトーは世界中に拠点を展開しています。土地の文化と人類の歴史が感じられる唯一無二の体験からインスピレーションを得た、すばらしいライフスタイルをご紹介します。
ルレ・エ・シャトーのメンバーは、世界中の食文化やおもてなしの伝統が誇る、豊かさと多様性を守り、推進したいという思いを胸に抱いています。2014 年にユネスコで宣言したルレ・エ・シャトーのヴィジョンにもあるように、土地の歴史や環境の保護にも積極的に取り組んでいます。
http://www.relaischateaux.jp/
https://twitter.com/RelaisChateaux
SDGs目標12「つくる責任つかう責任」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。 12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。 12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。 12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。 12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフ スタイルに関する情報と意識を持つようにする。 12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。 12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。 12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境 への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。