新たなエネルギー時代の幕開け:パナソニックとヤンマーの協業
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新たなエネルギー時代の幕開け:パナソニックとヤンマーの協業

パナソニックとヤンマーが共同出展、脱炭素経営EXPO【秋】での新エネルギーソリューションを探ります。脱炭素経営EXPO【秋】レポート第二弾!

「脱炭素経営EXPO【秋】」が2023年9月13日から15日まで開催されました。このイベントは、新たなエネルギーの未来を切り拓くために、国内外から多くのエネルギー関連企業が参加しました。この重要なイベントにおいて、パナソニック株式会社 空質空調社(以下、パナソニック)とヤンマーエネルギーシステム株式会社(以下、ヤンマーES)は協力して、新たなエネルギーソリューションを発表。SDGs fan編集部もこの注目の展示会初日に取材してきましたので、その模様をお届けします。



廃熱の有効活用は環境負荷の軽減とエネルギー効率の向上に直結しますが、この分野で注目を集めているのが、パナソニックの「ナチュラルチラー」とヤンマーESの「コージェネレーションシステム」です。それぞれが持つ革新的なアプローチで、「廃熱」を「資源」に変える取り組みが進んでいます。

ヤンマーESの「マイクロコージェネレーションシステム」は、発電時に発生する廃熱も有効活用し、エネルギー効率を高めるエネルギー供給システムです。一方、パナソニックの「ナチュラルチラー」は自然冷媒である水を使用し、廃熱で動かせることができるため、環境への負荷を大幅に削減できます。さらに、コンプレッサーが不要であるため、電力需要平準化(ピークカット)にも貢献。
両社のソリューションにより、廃熱を空調のためのエネルギーに変えることで、CO2排出量を大きく削減することを可能とします。

これらのシステムは主に病院や学校で導入されており、災害時の避難所としても機能しています。これは特に自然災害が多い日本で非常に有用な点です。また食品工場等の産業の分野でも導入が進んでいます。

両社の取り組みについて、パナソニックの担当者の方に話を伺いました。

 

―― 両社の取り組みが環境への負荷低減にどのように貢献しているのかについて説明していただけますか?

 

今まで都市ガスを含めた化石燃料で作った熱で冷たい水を作り、それを冷房に使うという吸収式冷凍機が主流でした。そのためエネルギー効率としてはまだまだ効率化できる余地があると考えていました。
そこで、同じく環境経営を重視するヤンマーESさんと一緒になり、ヤンマーESさんのコージェネレーションシステムの廃熱を熱源に利用することで省エネが可能になるということで、協力して取り組むことになりました。

主な導入先は病院、学校、ホテル、工場などに数多く採用されていると言います。
日本では滅多に停電せず、非常に質が高い電気を供給している反面、万が一停電したら大騒ぎになります。そういった停電時でもガスは供給され続けやすい特徴があります。災害で停電した際などは、ガスで発電して廃熱で冷房すれば稼働を維持できるという理由で、多くの病院で採用されています。また、学校は避難所になるケースが多く、災害時を想定しての採用が多いと言います。

導入事例一覧はこちら:https://rehainetsu.jp/case/
お役立ち事例ご紹介動画はこちら:https://youtu.be/g2MtkgfMrD4



展示ブースとは別のセミナー会場では、パナソニック株式会社とヤンマーエネルギーシステム株式会社によるトークセッションが行われました。
トークセッションに登壇したのは、パナソニック株式会社 空質空調社 設備ソリューションズ事業部 事業部長 池田博郎氏と、ヤンマーエネルギーシステム株式会社 代表取締役社長 山下宏治氏の2名。環境経営を謳う両社の協業について語られました。



冒頭でパナソニックの池田氏は「異常な猛暑により電力需要があり、またウクライナロシア問題もあり電力価格が著しく高騰しています。この状況は一時的なものではない。」と語り今後もエネルギー需要は高まるとの見解を述べました。またヤンマーESの山下氏は「エネルギーコストというのはビジネスに直接影響を与える。安定的なエネルギー需要が重要であると思っている。」と逼迫する電力需要を安定させるのが課題だと語りました。



池田氏は「電力需給を安定するのが重要で、私達が出来ることが2つあります。1つは再生エネルギーで風力や太陽光といった再生可能エネルギーを活用。各企業、取り組まれていますし、カーボンニュートラルの観点からしても重要です。もう1つは分散型電源の導入です。どう効率よく分散型電源システムを作っていくのかという中で、ガスコージェネレーションシステムをヤンマーES様と立ち上げました。」と語り、再生エネルギーと分散型電源が重要だと述べました。



最後に、両社が協力して開発したCGSコントローラーが紹介されました。このコントローラーのポイントは3つ。①廃熱利用の最適制御で省エネを実現、②機器通信情報の一括制御で手間を削減、③エネルギーの可視化を挙げ、両社のシステムを統合管理できることで施工メリットが最大化する業界初の画期的なソリューションだと語られました。

30分という短いトークセッションでしたが、満席で大勢の立ち見も出る程でした。そんなパナソニックとヤンマーESが掲げる「1%のエネルギーもムダにしない社会へ。」を目標に、環境経営を重視して今後も協業していくと言います。



「脱炭素経営EXPO【秋】」では、さまざまなエネルギー関連企業が持続可能な未来への道を模索し、技術とイノベーションが融合しています。パナソニックとヤンマーESの協業が示すように、日本はエネルギー分野でのリーダーシップを維持し、地球環境を守るための進化を遂げています。

関連ウェブサイト:https://rehainetsu.jp/special/panasonic-yanmar/

他にも、脱炭素経営EXPO【秋】に関するレポートを公開していますので、ぜひご覧ください。

国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標 7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
7.1 2030 年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a 2030 年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b 2030 年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。