地域に根ざした木材を原材料とする家づくりの普及啓発、 地域の林業・木材産業の発展のための11事業の成果報告を公開
令和6年3月11日(月)、一般社団法人 全国木材組合連合会、一般財団法人 日本木材総合情報センター、一般社団法人 全日本木材市場連盟は、オンラインにて、令和5年度林野庁補助事業、建築用木材供給・利用強化対策のうち「顔の見える木材供給体制構築事業」成果報告会を開催しました。
令和6年3月11日(月)、一般社団法人 全国木材組合連合会(会長:菅野 康則)、一般財団法人 日本木材総合情報センター(理事長:篠田 幸昌)、一般社団法人 全日本木材市場連盟(会長:守屋 長光)は、オンラインにて、令和5年度林野庁補助事業、建築用木材供給・利用強化対策のうち「顔の見える木材供給体制構築事業」成果報告会を開催しました。そして本日3月22日(金)に、ウェブサイトにて、各事業の報告書とともに、報告会の動画や発表内容の概要を公開しました。
本事業では、森林経営の持続性が担保された木材の供給と需要拡大に資する取組への支援を重視する観点から、
(1)山元に利益を還元して再造林を促進するための新たな取引の仕組み作りや、再造林の実施が確保された木材の流通体制構築に向けた合意形成、森林所有者や最終消費者の理解増進に向けた取組
(2)森林認証(FM認証・CoC認証)取得に向けた合意形成、認証取得に必要な認証材分別管理マニュアルの作成等や、森林認証材の需要拡大を図る取組
(3)素材生産業者から利用者までの各段階における需要状況等を踏まえた、原木供給ロットの拡大に向けた素材生産事業者の組織化、工場間の企画・品質統一に向けた品質管理・技術力向上、中大規模建築物への地域材の供給体制の構築等の地域における課題解決に向けた取組
(4)連携グループを設置して行う付加価値の高い構造材、内装材、家具、建具など幅広い分野での木材の利用拡大、普及活動に向けたモデル的な取組
を実施する11団体が採択され、報告を行いました。
■成果報告会レポート
https://moku-expansion.com/report/22_index_detail.html
木材利用の推進については、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」におけるSDGsにより、再生可能な循環型資源である木材が注目を集めており、木材の利用について人々の関心を集めています。
木材は、生育過程で二酸化炭素を吸収し、建築物等で使用することにより炭素を貯蔵することから、脱炭素社会の構築に大きく貢献する資材であると同時に、伐採した跡も適切に更新することで「伐って、使って、植えて、育てる」森林資源の循環利用が可能な資材として評価されています。
脱炭素社会の構築、SDGsなどの課題解決に向けて、木材利用の機運が高まる中で、我が国の森林資源が成熟期を迎え、国産材時代が現実のものとなりつつあります。
そのような中でWOOD CHANGE(ウッド・チェンジ)に代表されるような木材利用拡大の取り組みが官民双方にて進んでおり、身近な物品から建築物のような大きなものまで多種多様な事例が見られるようになってきました。特に非住宅建築物、中高層建築物の木造化、木質化を進めることは以前から喫緊の課題となっており、2021年10月1日には、「公共建築物等木材利用促進法」を改正した「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、建築物への木材利用が更に推し進められることとなりました。
今後、木材利用が間伐から主伐に移行しつつある中で、持続可能な循環型の森林・林業経営を確立するためには、木材の需要拡大とともに、付加価値の増大を通じて、資金を山に返し、確実な再造林を進め、次世代の資源を確保することが課題となっています。
このようなことから、一般社団法人 全国木材組合連合会、一般財団法人 日本木材総合情報センター及び一般社団法人 全日本木材市場連盟は、森林経営の持続性が確保された木材の安定需要獲得に向けた取組を含む、川上から川下までが連携した顔の見える木材安定供給体制の構築、地域等における課題解決の取組や、及び構造材、内装材等幅広い分野での木材の利用拡大・普及活動を実施する地域の取組への支援を行いました。
参考:林野庁ウェブサイト
・木づかい運動でウッド・チェンジ!
https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/kidukai/top.html
・脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(通称:都市(まち)の木造化推進法)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/koukyou/
令和5年4月27日~令和6年3月31日
(実施団体の事業実施期間)令和5年8月9日~令和6年1月26日
・持続性が確保された木材流通のための立木取引(マッチング)の場の構築
(一般社団法人林業機械化協会/一般社団法人国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会)
・山林所有を200年永続するバリューチェーン構築
(NPO法人つれもてネット南紀熊野)
・能登ヒバの音響価値共有と楽器材の活用創出による需要拡大でアテ林業をつなぐ
(フルタニランバー株式会社)
・流通チャネルの多角化による北海道上川地方産認証木材の需要拡大
(上川地域水平連携協議会)
・ALL 地域材でのDLT商品開発及び販売促進
(北鹿地域林業成長産業化協議会)
・横架材流通を中心とした広域SCMシステムの構築実証 ~川上と川下がウインウインの関係になるために~
(国産材安定供給体制構築に向けた小委員会)
・中・大規模建築物への木材供給体制構築
(徳島県木材協同組合連合会)
・林福連携による地域材製品のデザインと福祉事業者間共有に向けた取り組み
(社会福祉法人幸仁会/NPO法人木育・木づかいネット)
・「森に賑わいを」大径材を活用し製作した「インテリアCLT」を用いたマルシェキットで、「センダン植樹マルシェ」を開催し、森と人をつなぐ
(協同組合 福岡・大川家具工業会)
・喫煙場所を心地よい空間にするためのスギ木口スリットマグネット材導入による実証事業(越井木材工業株式会社)
・公共建築物向け地域産材等供給マニュアル作成と杉大径材・広葉樹等の公共建築物等での利活用の検討
(株式会社仙台木材市場)
■事業報告書ページ
https://moku-expansion.com/case/r5/
■一般社団法人 全国木材組合連合会 http://www.zenmoku.jp/
昭和29年設立。低炭素社会構築に貢献する木材利用の推進や木材関連産業の健全な発展を図り、木材資源の効率的利用を軸とした資源循環型社会の構築に寄与することを目的として活動しています。
会員の概要:47都道府県木連、17業種別団体(木材・木製品製造・流通約16,000社、21賛助会員)
所在地 :〒100-0014 東京都千代田区永田町2-4-3 永田町ビル6階
■一般財団法人 日本木材総合情報センター https://www.jawic.or.jp/
昭和49年設立。木材の需給、価格、生産、流通及び消費に関する情報の収集、分析及び提供等木材の安定供給の確保を支援する活動等を総合的に推進することにより、木材の需給及び価格の安定並びに木材の安定供給の確保を図り、もって林業及び木材関連産業の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的としています。
所在地:〒112-0004 東京都文京区後楽1-7-12 林友ビル4階
■一般社団法人 全日本木材市場連盟 https://www.zennichiren.com/
昭和34年設立。木材利用及び木材市場に関する調査分析を行うとともに、木材利用に関する知識及び技術の普及等を行うことにより環境、健康に優しい木材利用の推進と木材市場の健全な発展を図り、もってわが国の経済社会の発展に寄与しています。
所在地:〒112-0004 東京都文京区後楽1-7-12 林友ビル6階
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標 15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。 15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。 15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。 15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。 15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。 15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。 15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。 15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。 15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。 15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。 15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。 15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。