22年ぶりの男子競輪ユニフォームリニューアルをきっかけに開催したアップサイクル&デザインコンテスト「KEIRIN ART AWARD」受賞者発表!
選手が実際に着用していた9色のユニフォームをクッションやバッグなどにアップサイクル
公益財団法人JKAは、22年ぶりとなるユニフォームのリニューアルに伴い開催した、ユニフォームを利活用する「アップサイクル」部門と、KEIRINが持つ魅力を多くの方々へ伝えることを目的とした「アートポスター」部門の、全2部門制となる業界初のアップサイクル&デザインコンテスト「KEIRIN ART AWARD ~KEIRINは、新たな未来へ走り出す~」の受賞者を発表しました。
2024年8月5日(月)より始まった本コンテストは、環境保護への意識を高めると同時に、競輪のさらなる魅力、メジャー性を訴求することを目的に実施され、学生やクリエーターなどから多様なアイデアを積極的に募集しました。審査には、BEAMS CULTUART プロデューサー 佐藤尊彦氏や社会活動家・ソーシャルデザイナー 田中美咲氏、so+ba Design クリエイティブ・ディレクターAlex Sonderegger氏も参加。アップサイクル部門 では36名、アートポスター部門では137名のご応募の中から、グランプリを含む計12名の受賞者が決定しました。受賞作品は一部グッズ化する等の活用が検討されています。
なおKEIRIN ART AWARDで使用しないユニフォームについてはリサイクル処理を行います。伊藤忠商事株式会社及び株式会社レゾナックが展開している繊維リサイクルの課題解決を目指す循環型プロジェクト「ARChemiaプロジェクト」の「ガス化ケミカルリサイクル」を活用し、アンモニア(肥料/ナイロン原料)、水素(再生エネルギー)、アクリロニトリル(アクリル繊維原料)やCO2(炭酸/ドライアイス)等に再資源化します。リサイクルを行うことで、循環型社会の実現に貢献しています。
競輪で過去22年にわたって選手が実際に着用していた9色のユニフォームを素材にしたアップサイクル部門では、カラフルな色合いや背番号など、ユニフォームならではの特徴を活かし、日用品からユニークなアイテムまで、多様な作品が集まりました。
◆グランプリ
作品名:「HASSO Cushion」/作者:王婧怡(オウ・セイイ)
作品について:
エネルギッシュさと、フィジカルの強靭さ。競輪の魅力は、スポーツの域に留まらず、観る者の心を揺さぶります。「HASSO Cushion」は、そんな競輪選手たちの肉体的な美しさと圧倒的なエネルギーを、日常に取り入れるためのアップサイクルプロダクトです。競技の中で肉体が発する瞬間的な激しさを、クッションという柔らかな形で表現しました。触れるたびに競輪の「疾走」がもたらす高揚感と、その先に広がる安らぎを体験できます。
審査員コメント:
一目で心惹かれてしまいました。特徴的なフォルム、カラーリングは競輪とそのユニフォームをさらに魅力的にしてくれていると思いました。(田中氏)
◆ライフスタイル賞
作品名:「リペアシール」 /作者:大畑 五月
作品について:
古くなり、ダメージの出来てしまったアイテムを、絵を描くようにリペアできるシールです。 競輪のユニフォームの独特なデザインや素材を余すことなく使ったシールは、 古くなったり、ダメージがあったりするアイテムを新たな表情に生まれ変わらせてくれます。このシールによるリペア体験を通じて、コミュニケーションを生み、 環境保護の意識と、競輪の魅力を、より多くの人に伝えていくことが狙いです。
審査員コメント:
アップサイクルグッズを用いて修復を行うという斬新なアイデアやユニフォーム素材や色を使って自分を表現するという新しい価値を生み出している点が素晴らしい作品です。(アレックス氏)
◆JKA特別賞
作品名:「自転車好きのためのメッセンジャーバッグ」/作者:穂積 優
作品について:
カラフルなユニフォームと象徴的な選手番号を底面にも配置し、自転車に乗ると特に大胆に際立つメッセンジャーバッグです。1970年代、この形のバッグのルーツであるバイシクル・メッセンジャーは、元々は車社会や環境破壊への反目的なポリシーを持った若者が多かったといいます。世界を代表する自転車競技である競輪のユニフォームをメッセンジャーバッグにアップサイクルするというのは、環境にも優しい自転車乗りであるという新しいメッセージとなりそうです。
JKAコメント:
配色の美しさや車番が見えるデザイン等、ユニフォームの特徴を活かした、思わず欲しくなるような作品でした。
◆グランプリ
作品名:「努力が強さになる」/作者:治部 晶
作品について:
競輪の鮮やかでエネルギッシュなレースの裏にある、選手の努力や葛藤をイメージして制作しました。何層にも重ねられた線は自転車を漕いだ跡であるとともに、「目に見える努力」の蓄積です。この作品では「線」に大きな意味を持たせ、重きを置きました。華やかなレース時とは対照的な、練習時の努力や葛藤という、別の視点で競輪を見るきっかけになる作品にしたいと思い制作しました。
審査員コメント:
華やかな表舞台の背景に目を向けた素晴らしい作品だと思います。この努力の積み重ね、選手同士の思いなどが紡がれて今があるのだと知ると、競輪がさらに魅力的に感じられます。(田中氏)UP0 TECH®認証マークは、廃棄物ゼロで環境負荷の少ない製品を一目で示すシンボルとなり、そのエシカルな価値を伝えます。
◆準グランプリ
作品名:「Integration」 /作者:松田 兼一郎
作品について:
ブレーキのない自転車で最高速度70キロを超えるスピードで競い合う選手たち。その激動の中で一体化する選手と自転車を、競輪の象徴である車輪をモチーフに9色で表現しました。研ぎ澄まされた肉体と精神、スピードを感じられるようにシャープな印象に。また、ポスターの天地左右どこを上にしても成立する仕様に。このポスターを見た選手、スタッフ、観客の思いが一体化して競輪の明るい未来をイメージできることを目指しました。
審査員コメント:
スポーツの身体性ではなく、車輪やユニフォームの色を使った抽象的アプローチに意外性を感じました。(佐藤氏)
◆優秀賞
◆JKA特別賞
・Alex Sonderegger
「応募者によって「KEIRIN」が意味するものが異なっていて捉えられるKEIRINのエネルギーも多様で、そこから賞を選ぶのは難しい作業でした。しかしデザインが言語のように表現できることKEIRINの見られ方もまた多様であることを知り、とても嬉しかったです」
(so+ba Design クリエイティブ・ディレクター・武蔵野美術大学 クリエイティブ・イノベーション講師)多摩美術大学(2004~13年)、テンプル大学(2020年)で講師を務め、2021年より武蔵野美術大学で国際コミュニケーション+デザインの講師を務めている。
・田中美咲(社会活動家・ソーシャルデザイナー)
「この世界中でいわゆるユニフォームというものはたくさんあって、毎年もしくは今回だと22年ぶりだと思うんですけど、今回そのユニフォームを様々なアイディアによってたくさんの方がまったく想像しなかった形にして応募されていたりして、エントリーシートの時点でも面白かったんですけど実際にものになった瞬間に、あ、こんな形になるのかわくわくしながら拝見させていただきました。」
社会課題解決に特化したデザイン会社であるmorning after cutting my hair創設。同社が開発したインクルーシブファッションサービスが世界三大デザインアワード「iF DESIGN AWARD」にてGOLD受賞
・佐藤尊彦(BEAMS CULTUARTプロデューサー)
「今回の22年ぶりとなるユニフォーム刷新、これを機にアップサイクルという社会課題に対する向き合い方に、それに対してアートというお題をつけながらトライしていくというところはすごく期待をしていました。
競輪のスポーツとしての新しい魅力だったりとかアートとしてのクリエイティビティ、アップサイクルという社会課題、そういったことに対して、より興味を持つきっかけになったらいいなと思っています。」
BEAMSのカルチャー関連レーベルをグローバルに推進するプロジェクト「BEAMS CULTUART」のプロデューサーとして、アート領域での新規事業開発や、BEAMSのリソースを活用したBtoB事業を担当。
今回のユニフォーム刷新では、東京藝術大学 長濱雅彦教授がデザイナーとして携わり、「フィット感等の機能性の向上」に加え、「スポーツ性、アスリート性を訴求したフォルム・デザイン」、「シンプルかつスタイリッシュなデザイン」をコンセプトに一新いたしました。このリニューアルコンセプトを実現するため、スリムフィットを基調とした、新たな素材を使用し、乗車姿勢を基準とした設計をしております。また、ペットボトルから再生されたリサイクルポリエステル糸と、弾性繊維ポリウレタンを使用しており、リサイクルポリエステル糸はリサイクル素材の国際認証「GRS認証」を取得。SDGsに沿った、環境に優しい素材を採用しています。
新ユニフォームは2024年12月28日(土)より静岡競輪場で開催される「寺内大吉記念杯競輪」において出走選手が先行着用し、2024年12月31日(火)を節初日とする開催から着用いたします。
▼新ユニフォーム特設サイト: https://keirin-new-uniform.jp/
競輪とオートレースは、それぞれ自転車競技法と小型自動車競走法の規定により、地方自治体が開催する公営競技です。その収益は、競技を開催する地方自治体の財政の健全化に役立てられるだけではなく、自転車・小型自動車その他の機械の改良及び輸出の振興、機械工業の合理化並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に寄与する形で社会に還元されます。
本財団は、こうした法令に則り、「競輪関係業務」、「競技実施業務」及び「小型自動車競走関係業務」を行っています。
SDGs目標12「つくる責任つかう責任」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。 12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。 12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。 12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。 12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフ スタイルに関する情報と意識を持つようにする。 12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。 12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。 12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境 への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。