ポリエチレンクロス
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【日本初】使用済みPETボトルキャップを原材料に使用し製織した「ポリエチレンクロス」を開発

日本山村硝子株式会社は、株式会社TRIFE DESIGNおよび北辰化成工業株式会社との協業事業により、使用済みPETボトルキャップを使用し、製織した「ポリエチレンクロス」を日本で初めて開発しました。

日本山村硝子株式会社(本社:兵庫県尼崎市、代表取締役社長執行役員:山村 幸治)は、株式会社TRIFE DESIGNおよび北辰化成工業株式会社との協業事業により、使用済みPETボトルキャップを使用し、製織した「ポリエチレンクロス」を日本で初めて(※1)開発しました。

※1 株式会社ナレッジワイヤ による G-Search新聞・雑誌記事横断検索、日経テレコン(日経関連紙・誌記事)検索に基づく。2025年2月25日調査実施。



TRIFE DESIGN社が運営するアップサイクルブランド/プロジェクトReTA BASEにおいて、同社および北辰化成工業社が協働パートナーとして参画し、新素材の開発を進めてきました。
今回、日本初となる使用済みPETボトルキャップを原材料とした新素材ポリエチレンクロスを、全工程を国内で完結する循環型モデルとして発表いたしました。本取り組みは、地球規模の環境問題であるプラスチック廃棄物の有効利用を目的としており、異業種が連携して同一の目標に向かって協力するという点が大きな特徴です。
同社のプラスチックカンパニーでは、PETボトルキャップを新たに価値ある製品に再生し、循環型社会の実現を目指して活動しています。これまでは、排出されたPETボトルキャップを原材料としたアップサイクルにおいて、金型を使用した成形方法が多く採用されており、多額の初期投資が必要でした。しかし、今回の開発により、金型の初期コストを抑えた製品開発が可能となり、ポリエチレンクロスによる縫製品などの加工ができるようになりました。このため、様々な用途での展開が期待できます。

ReTA BASEにおける同社の役割は、PETボトルキャップの領域における長年の事業経験や技術を駆使し、マテリアルリサイクルの要となる排出されたPETボトルキャップの材質選別および洗浄を行い、ポリエチレンクロスに最適なペレット化をすることです。

<各社パート>
・株式会社TRIFE DESIGN → プロジェクト全体のディレクションとデザイン
・日本山村硝子株式会社 → 使用済みペットボトルキャップからの再生原料化(ペレット)
・北辰化成工業株式会社 → 使用済みペットボトルキャップからの再生原料(ペレット)を利用したフラットヤーン

ペットボトルキャップの主原料であるポリエチレンは、従来は樹脂成形により加工されていました。樹脂成形のメリットは、効率よく大量生産が可能な点ですが、生産に使用する金型には多額の費用が必要となります。今回は金型を使用した樹脂成形ではなく、ポリエチレンクロスを開発することで、縫製品などの加工が容易になり、また金型代などの初期コストを抑えたプロダクト開発が可能になります。
今回のポリエチレンクロスの開発にあたり、幾つものハードルがありました。まず、市場回収したペットボトルキャップを原材料とするフラットヤーンの前例がなく、製造プロセスの確立に時間と労力を要しました。また、フラットヤーンの品質を均一に保つための技術的課題も克服する必要がありました。さらに、ポリエチレンクロスの性能向上と持続可能性を両立させるため、素材選びから製織方法に至るまで細心の注意が払われました。協業パートナーである株式会社TRIFEDESIGNと北辰化成工業株式会社の協力により、環境に配慮した軽量で防水性にも優れた新素材ポリエチレンクロスが誕生しました。
この循環型モデルは、廃棄物のリサイクルプロセス全体を国内で完結させることで、輸送コストや環境への影響を最小限に抑えることができます。また、地域経済の活性化にも寄与し、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となります。

同社は1914年の創業以来、「循環型社会の実現に貢献する」という精神を大切にしてきました。長年の経験と豊富な実績を基に、プラスチックを通じて豊かな未来の創造に挑戦し続けています。
飲料メーカーが中心となり、ペットボトルの水平リサイクル(ボトルtoボトル)は進んでいますが、ペットボトルキャップの回収やリサイクル活動の認知度はまだ低いのが現状です。ペットボトルキャップの回収をユーザーに浸透させるには、「習慣化」「コミュニティ」「手軽さ」 の3つのポイントがあり、ユーザーが「無理なく楽しく参加できる仕組み」が非常に重要と考えます。

<教育や啓発>
・環境教育の一環にする
→ 学校でリサイクルの重要性を教え、キャップ回収を子どもの習慣にする。
・企業や自治体との連携
→ 会社や地域イベントでキャップ回収を推進し、協力の輪を広げる。
・成功事例を発信
→「回収したキャップで○○ができた!」とプロダクト化への成果を伝え、参加意欲を高める。
「楽しく・簡単に・メリットがある」 仕組みを作ることで、ユーザーの継続的な回収を促す。

<参加パターンや活用法>
・企業、自治体、学校、スポーツチームなど身近な素材であるペットボトルキャップを活用し、廃棄プラスチックのリサイクル活動に参加
・回収したペットボトルキャップを原材料に製織したポリエチレンクロスを使ったプロダクトやノベルティの開発

<ReTA BASEとは?>
自利利他 → ReTA
自利利他は仏語であり、自己の幸せは他人の幸せでもあり、他人の幸せは自己の幸せでもあるという意味です。
ReTA BASEはブランドであり、プロジェクトの名称です。
①ブランドの顔(モノ)
・素材(ペレット、フラットヤーン、ポリエチレンクロス)
・プロダクト(バッグなどのライフスタイル雑貨)
ReTA BASE素材として、販売も実施。『*ReTA BASE PELLET』『*ReTA BASE FLAT YARN』
『ReTA BASE CLOTH』を展開します。*商標申請中
②プロジェクトの顔(コト)
・廃棄物の回収からペレット、フラットヤーン、生地化までの仕組み(プラットフォーム事業)



TRIFE DESIGNはこれからの時代、企業やブランドは社会に対する存在意義を示していく必要があると考えます。VUCA時代という先が不透明な状況下において、TRIFE DESIGNでは社会に必要不可欠な存在を目指し、様々な「モノ」や「コト」を広義のデザインから狭義のデザインにまで携わる独自の「ワンストップデザイン」で発信します。
TRIFE DESIGN社では「サーキュラーデザイン」に重きを置いて様々なプロジェクトに取り組んでおり、特にプラスチックを中心とした環境問題は深刻な状況であると捉えています。



昭和36年創業、ポリプロピレン延伸テープとフラットヤーンのメーカー。長年に亘って積み上げられてきた実績とノウハウを最大限に生かし、多種多様なフラットヤーンの製造を行っています。



SDGs目標12「つくる責任つかう責任」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?

国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。
12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフ スタイルに関する情報と意識を持つようにする。
12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境 への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。