企業による森林サービスを活用した新たな価値づくり プロジェクト
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「企業による森林サービスを活用した新たな価値づくり プロジェクト」発足

企業の持続的成長に向け、森林サービスを活用した新たなアプローチを推進

近年、企業における環境への取り組みは、単なる社会貢献活動にとどまらず、持続可能な経営戦略の一環として不可欠なものとなっています。特に、日本は世界有数の森林大国であり、木材資源としての価値はもちろん、森林が持つ多面的な価値にも注目が集まっています。

企業が森林と関わる方法は、森林の保全活動(植樹や間伐)、木材利用、森林によるカーボン・オフセットにとどまりません。企業の成長戦略として森林サービス(※)を活用し、事業活動と環境貢献を結びつけることで、企業価値の向上やブランド価値の強化、さらには従業員のエンゲージメント向上など、多方面にわたる効果が期待されます。

※森林サービスとは、健康・観光・教育等の様々な分野で森林空間を活用して提供されるサービスのことで、国は森林サービス産業として推進しています。

また、テクノロジーやAI技術が進化する一方で、人が本来持つ創造力や感性の重要性が再認識されるなか、自然との共生を軸とした企業経営は、サステナビリティの観点からも競争力向上のカギとなっています。
こうした背景のもと、一般社団法人 森と未来、一般社団法人 more trees、株式会社 モリアゲの3社は、「企業による森林サービスを活用した新たな価値づくりプロジェクト」を発足します。本プロジェクトでは、森林が持つ多様な価値を活かし、企業のCSR活動や統合報告書の枠を超えて、組織活性化や新たなビジネス機会の創出を目指します。森林を活用した新たな可能性を皆様と共に探求し、環境への貢献と企業価値の向上を両立する具体的な取り組みへとつなげていくことを目的としています。



一般社団法人 森と未来 代表理事 小野なぎさ

地球環境への影響が企業活動の評価基準となる今、国土の7割を森林が占める日本においては、森林を単なる資源としての価値だけでなく、その機能や空間そのものの価値についても考えていく必要があります。本プロジェクトを通じて、企業が経済活動の中で「森林を活用する」ことの魅力について、共に考えていきたいと思います。

一般社団法人 森と未来 は、「森とともに豊かな未来を創る」ことを理念に、森林浴の推進、人材育成、地域の森林資源活用支援 など、森林空間を活かした事業を展開しています。日本発祥の森林浴に根ざした自然観や森林文化は世界からも注目されており、日本の森林の価値を高め、サステナビリティの実現に貢献していきます。

一般社団法人 more trees  事務局長 水谷伸吉

企業が脱炭素やネイチャーポジティブの視点で植林やカーボンオフセットに取り組むことは非常に意義深いですが、森林の持つ価値はそれだけにとどまりません。森林空間を研修やイベントなどで活用することで、社員のウェルビーイングや創造性を高め、企業価値の向上にもつながります。せっかく森林に関わるなら、その魅力を最大限に活かし、共に新たな可能性を広げていきましょう!

一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ)は、音楽家 坂本龍一氏が創立し、建築家 隈研吾氏が代表を務める森林保全団体です。国内外24か所で地域と協働して進める森の保全活動のほか、国産材を活用した商品の企画・開発、イベントを通じた森の情報や魅力の発信など、「都市と森をつなぐ」をキーワードにさまざまな取り組みを行っています。

株式会社 モリアゲ 代表 長野麻子

企業の活動も私たちの暮らしも森林をはじめとする自然資本が土台。先人が残してくれた森林を企業経営に活かす時代がやってきました。多種多様な業界の皆さんとのコラボにより、森の国日本流のサステナブルな取組を広げ、日本の森林も企業の価値もモリアゲていきましょう!

株式会社モリアゲは、林野庁木材利用課長だった長野麻子が早期退職して、豊かな森を次代につなぐために2022年8月に設立された森林業コンサルティング会社。人と自然、森と街をつなぎ、官民協働による森林の価値向上に挑戦するプロジェクトに伴走しながら、各地の森をモリアゲています。



本プロジェクトでは、森林サービスを活用した新たな可能性を皆様と共に探求し、環境への貢献と企業価値の向上を両立する具体的な取り組みへとつなげていきます。
具体的には、以下のテーマに基づき、さまざまな取り組みを創出・支援していきます。

●プロジェクトテーマ

① 人材・組織活性化における森林の活用
企業が優秀な人材を確保するには、選ばれる企業づくりが不可欠です。CSRの枠を超え、理念や価値観を浸透させる手段として森林の活用が有効です。たとえば、森林サービスを通じ人的資本経営におけるエンゲージメント向上や働きがいの創出、人材研修や組織開発を通じて、組織の結束力を強化し、優秀な人材の確保・定着に貢献します。

② 健康経営における森林の活用
従業員のストレス軽減やメンタルヘルス向上は、健康経営の推進において重要です。森林サービスを通じたCSR活動への参加や福利厚生の充実、ワークライフバランスの確保は、従業員の健康を支え、生産性の向上にもつながります。

③ クリエイティブにおける森林の活用
森林の多様性や循環の概念は、企業の創造性向上に貢献します。都市の喧騒を離れたオフサイト環境での研修やワークショップは、新たなアイデアを生み出し、発想力を高めます。森林サービスの活用により、企業のイノベーション創出へとつながります。

④ 環境経営における森林の活用
企業における環境経営の推進は、経営理念の実践と企業価値の向上につながります。森林サービスの活用は、この理念を社内外のステークホルダーへ効果的に伝える手段となります。さらに、社会的意義やパーパス経営の観点からも、森林を活用することで社会からの信頼を高めることができます。

⑤ 事業創出における森林の活用
森林を活用した新たな事業やサービスの開発は、新たな市場の創出につながります。顧客体験の向上やブランドへの愛着を深める施策として、森林資源を活かした製品や体験型プログラムは効果的です。近年、海外でも注目されている森林浴や、日本独自の自然観は、「Made in Japan」の原点ともいえる価値です。これらは国内外問わず顧客にとって魅力的であり、企業価値向上に欠かせない要素となっています。

●プロジェクト実施内容

事業開発、推進の支援
企業向け情報提供、事例共有、勉強会
企業および地域との交流、マッチング

●プロジェクト登録およびキックオフのご案内

本プロジェクトへの参加をご希望の方は、専用フォームよりご登録をお願いいたします。活動の情報やイベント内容を共有し、皆様と共に事業を推進していきたいと考えております。 また、本プロジェクトの内容をより詳しくお伝えするため、オンラインでキックオフフォーラムを開催いたします。

キックオフフォーラムの概要
2025/5/28(水) 14−17時(予定)
オンライン(zoom)にて配信
3社代表によるプロジェクトのご案内
登録および参加についての専用フォームは、以下のページよりご利用ください。
https://fwithf.org/momomo/



国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標 15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。
15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。
15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。
15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。
15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。
15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。
15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。