
市民が災害支援の担い手に。国内最大級の民間災害支援施設が専門家と連携しボランティアを養成。日本初の民間による災害支援拠点が本格稼働スタート
公益財団法人日本財団ボランティアセンターは、「日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(VTC)」を2025年3月7日(金)に開所しました。
公益財団法人日本財団ボランティアセンターは、災害発生時に瓦礫撤去・道路復旧等を担う技術系災害ボランティアを育成し、配備された重機・資機材を災害現場へ貸し出す実働機能を有する国内初*の施設「日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(VTC)」を2025年3月7日(金)に開所しました。
また、4月~5月に実施する災害ボランティア研修についても、初心者向けから専門的な技術を学べるものまで、各レベルに合わせた研修の参加者募集を開始しています。
自然災害が多発する昨今、被災地で迅速に対応できるボランティア人材の重要性が増しています。日本では消防・警察・自衛隊など主に政府機関が災害支援を担っていますが、海外ではドイツの技術支援隊(THW)のように8万人以上のボランティアから構成された政府公認の土木系災害救援団体が設置され、有事の際は国が雇用主側に補償するなど、市民を中心に災害支援に対応している事例もあります。
日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(VTC)は、学生・社会人・シニアの方々など様々な市民の方が災害支援スキルを習得することで、”市民の力”で日本国内の災害支援能力の強化と基盤の構築を目指して開設された、国内最大級の民間災害支援施設です。
・詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000098085.html
同センターは、災害支援人材の育成に注力しており、災害現場でのボランティア活動をしたことがない初心者向けの研修から、被災者とのコミュニケーション方法など、災害現場で必要な知識やスキルを学ぶ研修まで、様々なレベルの研修を年間を通じて開催しています。2021年~2025年2月末までに累計6,000人以上が受講してきました。
新たに開設したVTCでは、災害復旧に必要な重機や資機材、工具の使い方など専門技術の習得できる研修を開催し、一般的なボランティア活動では対応が難しい専門的な作業を担う人材の育成を目指します。
◆4月開催の研修
災害ボランティア研修 〜入門編〜
【日時】4/23(水)19:00~20:00
【場所】オンライン(Zoom 利用)
【参加費】無料
【申込締切】4/22(火) AM9:00
【内容】
・令和6年奥能登豪雨における被災地の様子、現地での支援活動
・災害ボランティアへの参加の仕方
・装備と持ち物 事前の準備
・災害ボランティア当日 1日の流れ
・出発前、活動中、活動後の注意点
【詳細・申込】https://vokatsu.jp/seminar/1742272723593x831154692290248700
「ペットと一緒に被災したら?今できる備え(地震編)」 災害ボランティア研修~ケーススタディ編~
【日時】4/16(水)19:00~20:00
【場所】オンライン(Zoom 利用)
【参加費】無料
【申込締切】4/15(火) AM9:00
【内容】
・ペット防災のしくみ
・ペット同行避難の事例(多頭飼育避難)
・豪雨災害のペット支援の実際
・被災地のペット避難の実際
・今できる備え
【詳細・申込】https://vokatsu.jp/seminar/1741917226074x630886488306614300
災害ボランティア研修 〜エキスパート”自然災害家屋再生”編〜
【日時】4/27(日)13:00~16:30
【場所】日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(茨城県つくば市)
【参加費】3,000円(学生無料)
【申込締切】4/9(水) AM9:00
【内容】
・被災した家屋への対応についての座学研修
・実寸大の壁床模型などを使用した工具や資機材の取り扱い方法などの実技研修
【詳細・申込】https://vokatsu.jp/seminar/1742516327757x261139047933804540
◆5月開催の研修
災害ボランティア研修 〜入門編〜
【日時】5/15(木)19:00~20:00
【場所】オンライン(Zoom 利用)
【参加費】無料
【申込締切】5/14(水) AM9:00
【内容】
・令和6年奥能登豪雨における被災地の様子、現地での支援活動
・災害ボランティアへの参加の仕方
・装備と持ち物 事前の準備
・災害ボランティア当日 1日の流れ
・出発前、活動中、活動後の注意点
【詳細・申込】https://vokatsu.jp/seminar/1743660368291x645121537990983700
「必要なのはオーダーメイドな防災力 災害ボランティア研修」 災害ボランティア研修~ケーススタディ編~
【日時】5/22(木)19:00~20:00
【場所】オンライン(Zoom 利用)
【参加費】無料
【申込締切】5/21(水) AM9:00
【内容】
・防災の基本
・ものの備えの考え方
・行動の備えの考え方
・心理的ケアについて
【詳細・申込】https://vokatsu.jp/seminar/1743749607752x109375033530908670
災害ボランティア研修 〜エキスパート”自然災害家屋再生”編〜
【日時】5/25(日)13:00~16:30
【場所】日本財団第二ビル2階会議室(東京都港区)
【参加費】3,000円(学生無料)
【申込締切】4/30(水) AM9:00
【内容】
・被災した家屋への対応についての座学研修
・実寸大の壁床模型などを使用した工具や資機材の取り扱い方法などの実技研修
【詳細・申込】https://vokatsu.jp/seminar/1742794484074x493784800813383700
◆その他実際の講座例
座学講座では、実態から学ぶ避難所運営と炊き出し支援、被災後に関係する法制度のほか、防災活動など各分野のエキスパートを講師に迎え、毎月テーマを変えて開催するオンラインセミナー「災害ボランティア研修~ケーススタディ編~」では、災害の段階・局面に応じて【防災・発災後・復旧支援・復興支援】の4フェーズに分けて開催*する予定です。また、実技研修では、重機講習会、災害危険木処理などを予定しています。(*2024年度例)
2025年3月7日(金)には、2年間の整備期間を経たVTCの開所式を実施しました。日本財団 会長の笹川陽平、同センター会長 山脇 康からオープニングの挨拶を行った当日は、常務理事 の沢渡 一登よりVTCの施設概要や今後の施設活用計画について説明。その後、当施設の一般利用者である災害ボランティア経験のある学生や、過去の震災時に災害ボランティアの一員として活躍されている消防士の方々とのテープカットや、重機の操縦デモを実施しました。
当日の様子は、テレビ局や新聞社など多数のメディアを通じて報道され、オープン後すぐに「VTCの講習を受講して、重機を使った活動が被災地でできるようになりたい」など約80件の研修に関する問い合わせがありました。
VTCでは災害現場など特殊環境における重機操縦のトレーニングが可能な訓練フィールドに加え、座学を行う研修棟、復旧活動に必要なショベルカーやダンプカーなど16台の重機や資機材を配備し、一般的なボランティア活動では対応が難しい専門的な作業を担う人材の育成を行います。
災害支援に関心のある一般個人の方々が重機の操縦技術や災害支援の専門的な知識・ノウハウを習得できる場であり、平時での研修・トレーニング施設にとどまらず、災害発生など有事の際には配備された重機・資機材の貸し出し・一定以上のスキルを持つボランティア派遣を行う実働機能を有する国内初の施設です。
(※同団体調べ/2025年2月時点:国内の技術系災害ボランティア支援組織・施設として)
開所の経緯~人手・技術不足を背景に、救助に必要不可欠な重機が現場で使用されず~
災害時の人命救助タイムリミットは72時間とされています。迅速な救助活動のためにはまず瓦礫撤去や道路復旧が不可欠であり、そこに必要とされるのが重機の存在です。2011年の東日本大震災では、土砂や瓦礫により緊急車両の進入が困難となり、救助の遅れが課題となりました。この経験を踏まえ総務省は「緊急消防援助隊」への重機配備を進めてきましたが、昨年の能登半島地震では配備された重機の多くが使用されていなかったことが問題視されました。背景には、人手不足や消防の重機操作の技術不足などが挙げられ、能登半島地震に限らず実際の被災地では、専門技術を持つボランティアが道路を復旧し、その後に消防・警察車両が現場入りするケースが多いのが実情です。
◆施設名:日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(略称:VTC)
◆所在地:茨城県つくば市南原2番地
◆開所日:2025年3月7日(金)
◆総面積:12,883.22㎡
◆施設内容:研修棟、重機ステーション、訓練フィールド
◆配備重機・車両:合計16台
・ショベルカーViO12(機械質量:1,065kg)×2台
・ショベルカーViO17 (1,660kg) ×2台
・ショベルカーViO25 (2,500kg) ×4台
・ショベルカーViO35 (3,480kg) ×1台
・ダンプカー 3t×3台
・ダンプカー 4t×1台(予定)
・クローラーカー×2台
・軽トラック×1台
◆その他配備
・投光機×2台
◆公式サイト:https://www.volacen.jp/project/vtc/
◆災害支援実績
同センターでは、これまでに東日本大震災の被災地や、地震や台風被害などで被災した全国各地の災害現場に、のべ1万5千人以上(2025年2月末現在)の災害ボランティアを派遣してきました。
2024年は、令和6年能登半島地震と奥能登豪雨の被災地である石川県珠洲市と輪島市、豪雨による水害被害のあった山形県酒田市にボランティアの派遣や、技術系災害ボランティア団体に重機の貸し出しを行いました。
◆公益財団法人日本財団ボランティアセンター(日本財団ボラセン)概要
同センターは、2010 年にNPO 法人日本学生ボランティアセンターとして設立し、学生のボランティア活動支援をスタートさせ、2022 年3 月までに東日本大震災の被災地にのべ1万2千人以上の学生を派遣しました。2021年に「公益財団法人日本財団ボランティアセンター」へと名称変更し、学生だけではない幅広い世代を対象に、ボランティアに関する事業を実施しています。東京2020 大会ではボランティアへの研修など育成事業に携わり、その後も2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™など、大規模イベントへのボランティア派遣やボランティア団体の支援も行っています。
所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-11-2 日本財団第二ビル4階
代表者:会長 山脇 康
外務省 SDGsサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
11.1 | 2030 年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。 |
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11.2 | 2030 年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。 |
11.3 | 2030 年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。 |
11.4 | 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。 |
11.5 | 2030 年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。 |
11.6 | 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。 |
11.7 | 2030 年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。 |
11.a | 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。 |
11.b | 2020 年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組 2015-2030 に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。 |
11.c | 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。 |