日産、自動車販売店として国内初となる次世代型太陽電池「カルコパイライト太陽電池」の実証実験を開始
神奈川県が実施する「次世代型太陽電池普及促進事業」の採択事業としての取り組み、県・メーカーとの連携で神奈川県発の次世代技術を社会実装。お客さまが最新技術を体感できる場に
日産自動車株式会社(社長:イヴァン・エスピノーサ)は、神奈川県が実施する「次世代型太陽電池普及促進事業」(※1)の採択を受けて進めていた事業について、日産神奈川販売株式会社のR1東戸塚店(横浜市戸塚区)に自動車販売店として国内初となる次世代型の「カルコパイライト太陽電池」の実証実験を10月16日(木)より開始しました。株式会社PXP(神奈川県相模原市)が開発・提供する「薄く、軽く、曲げられる」という特性をもつ「カルコパイライト太陽電池」を店舗ガラス面やキャノピー(※2)の円柱部分などに設置し、「見える再生可能エネルギー(再エネ)店舗」として来店者が発電電力を体感できる環境を整えています。
神奈川県は環境負担が低く、建物や商業施設といった既存の都市構造物への設置も可能な次世代型太陽電池の早期普及を目指し、実証実験の支援を進めています。今回の取り組みでは、県内企業である相模原市の株式会社PXPが開発した「カルコパイライト太陽電池」を活用。厚さ約0.6mm、重量0.7kg/㎡と軽量で、曲面にも追従できる柔軟性を持つため、従来のシリコン系では難しかった壁面や円柱などへの設置が可能です。
日産神奈川販売 R1東戸塚店では、「カルコパイライト太陽電池」を店舗インフラへ初めて導入し、実際の生活空間でどのように活用できるかを検証。神奈川発の技術を、地域の店舗を通じて実生活へ実装する事例として取り組みを進めています。
今回の事業では、カルコパイライト太陽電池の特性を活かした設置と、発電した電力を来店したお客さまに「見て・使って・理解する」体験をしていただくことに取り組んでいます。これは、神奈川県が実施する「再エネの見える化・普及啓発」の目的に合致した、生活者参加型の実証モデルです。
日産の公式YouTubeチャンネルでは、R1東戸塚店の様子や関係者のインタビューをまとめたムービーを12月4日より公開しています。
URL:https://youtu.be/25Tk9bw1mgs
【取り組みのポイント①】再エネを見える化!来店したお客さまが実際に発電した電力を体感できる
来店したお客さまが実際に発電した電力を体感できる点が特徴のひとつです。カルコパイライト太陽電池で発電した電力は、店内ディスプレイの発電量表示や自動販売機の使用電力、スマートフォン充電器などに活用。発電の仕組みを体感できる「見える再エネ店舗」を実現しました。
【取り組みのポイント②】県内初となる丸みを帯びた形状への設置
カルコパイライト太陽電池は、「薄く、軽く、曲げられる」という特性を備え、シリコン系では難しかったガラス面や曲面への設置を可能にします。この特性を活かし、ガラス面だけでなくキャノピー柱のような円柱形状にも展開。丸みを帯びた形状への設置は県内初の試みであり、研究段階を超えて、店舗インフラの中で再エネをどう実装するかを検証するフェーズに踏み出した取り組みです。
同社は2050年までに、事業活動からクルマのライフサイクルまで含めたカーボンニュートラルの実現を掲げています。日産販売店においても再生可能エネルギーの活用を促進し、クリーンな電力の使用を推進しています。今回の実証実験を通じて、太陽電池の設置場所や、活用範囲を確認し、将来的に環境配慮型店舗の導入に繋げ、お客さまに次世代型太陽電池の先進性と日産の環境への取組みを伝えています。
その取り組みのひとつとして、2025年10月から実質再生可能エネルギー100%(※3)の「日産でんき」の家庭向けメニュー(低圧)を、沖縄・離島を除いた全国へ展開しており、日本全国のお客さまにもクリーンな電力を身近に感じていただける環境づくりを進めています。
また10月から日産グループの販売会社やお取引先などを対象とした法人向けの高圧電力事業も開始しました。実質再生可能エネルギー100%「日産でんき」をご家庭や、法人にお届けし、社会全体のCO₂削減に貢献してまいります。R1東戸塚店においても、「日産でんき」の法人向け高圧電力を導入しており、自家発電も取り入れた電力 100%カーボンニュートラル店舗として運営をしています。
さらに同社はEV(電気自動車)を通じて走行時のCO₂排出ゼロを実現するなど、クルマ自体の環境負荷低減にも継続的に取り組んでいます。店舗インフラ・電力供給・EVといった複数の側面から脱炭素を進めることで、地域とともにCO₂削減と再エネ普及に貢献していきます。
日産でんき:https://www.nissan.co.jp/nissan-denki/
本事業は、神奈川県、県内太陽電池メーカーである株式会社PXP、日産の三者が連携し、地産技術を地域の生活環境に活かす取り組みとして実施されています。今後は発電量データの分析を行い、効果的な活用方法などの検討に繋げてまいります。また、県民の皆さまへの情報発信を通じて、“見える脱炭素”の推進を図ります。
<神奈川県 環境農政局 脱炭素戦略本部室 室長 竜江 義如コメント>
次世代型太陽電池は、「薄く、軽く、曲げられる」という特長があり、これまでの技術では設置が難しかった場所にも設置可能になるなど、脱炭素社会の実現に向けた「切り札」になると考えています。このたび県内企業である日産自動車様とPXP様に協力いただき、自動車販売店という身近な場所に次世代型太陽電池を設置して、発電した電気を店舗内の様々な場所で活用する「見える化実証事業」を進めていただくことになりました。
県民の皆様に最先端の次世代技術を体感していただける、とても有意義な取組と感じています。県では、本事業の成果等も踏まえながら、次世代型太陽電池の早期普及に向けて、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
<株式会社PXP 取締役CTO 杉本 広紀コメント>
私たちが手掛けるカルコパイライト太陽電池は「薄く、軽く、曲げられる」ことに加え、金属と石の材料で形成されているため熱に強く、またつなげて自由な大きさで使用できるのが特徴です。今回の日産店舗では、1メートル以上の横長形状のものを店舗の窓に設置したほか、柱に巻きつける形でも設置しました。
発電した電力は自動販売機やスマートフォン充電等に活用していますので、ぜひ来店されたお客さまには実際に電力を使っていただき、次世代型太陽電池について知っていただければと思います。
<日産自動車株式会社 日本事業統括部 部長 小塚 功子コメント>
日産は、2050年までにクルマのライフサイクル全体でカーボンニュートラルを目指しています。走行時CO₂排出ゼロの電気自動車の普及に加え、実質再生可能エネルギー100%(※3)の「日産でんき」を一般家庭から法人まで幅広く提供し、クリーンな電力をご利用いただける環境を整えています。
さらに、自動車販売店として全国で初めてカルコパイライト太陽電池の実証実験を開始し、設置環境や発電量などの検証を通じ、将来的な環境配慮型店舗の導入検討へと繋げていきます。日産は今度も持続可能な未来に向け、挑戦を続けてまいります。
※3火力等で発電された電気に再エネ指定の非化石証書を付加することにより、実質的に再生可能エネルギー100%であるとみなされます。
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標 7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
7.1 2030 年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。 7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 7.a 2030 年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。 7.b 2030 年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。