風力発電所の廃棄ブレードを新たな電力資源へ~超小集電技術を活用した「再生循環型の電力活用プロジェクト」が始動~
一般社団法人オフグリッド・デザインコンソーシアムは、トライポッド・デザイン株式会社と協働し、超小集電技術を活用し、風力発電所の廃棄ブレードを再利用して新たな電力を生み出す再生循環型の電力資源プロジェクトを開始しました。
一般社団法人オフグリッド・デザインコンソーシアム(所在地:東京都千代田区、代表理事:中川聰、以下:OGD)は、コンソーシアム参加企業である前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:前田操治、以下:前田建設)がコンソーシアムを主宰するトライポッド・デザイン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:中川聰、以下:トライポッド・デザイン)と協働し、超小集電技術を活用し、今まで再利用が困難なためCO2排出や処理コストの観点から社会課題となってきた風力発電所の廃棄ブレードを再利用して新たな電力を生み出す再生循環型の電力資源プロジェクトを開始しました。
本プロジェクトの一環として、風力発電所の廃棄ブレードを活用して制作したアートベンチに、超小集電(Micro Power Collection / MPC)技術を応用した廃棄ブレードを電解質に用いた集電装置により得られた電力を使って点灯するLEDライトを配した「照明付きアートベンチ“reveil”(レヴェイユ)」をプロトタイプデザインとして制作致しました。産業廃棄物の減量化に加え、廃材を使い新たに電力を生み出す事で社会に新たな価値を付与する取り組みとして大きな可能性を示すものです。
本作品は12月17日より一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会のご理解により大手町3×3Lab Futureにて展示を開始します。同日13:00~15:00には発表イベントも開催します。風力発電の廃棄ブレードを活用 「照明付きアートベンチ“reveil”」
※廃棄ブレードが有する耐候性や強度をアートベンチの構造体に活用。廃棄ブレードを電解質素材として利用した超小集電セル(電池)による自立発電システムを搭載。夜間にはベンチ上部をセンサーにより自動点灯するライトが組み込まれています。 ※本作品の制作においては、風力発電所から購入した廃棄ブレードが使用されています。 ※超小集電技術とは、土壌や水中、植物、生体、コンポスト(堆肥)、産業廃棄物などあらゆる対象を媒体としながら微小な電気を収集する技術です。
■ 社会背景:循環型社会と産業廃棄物の課題
近年、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの推進により、リサイクルや資源循環の重要性が急速に高まっています。その一方で、再生可能エネルギーを象徴する風力発電所のブレード廃棄は世界的にも問題となっているなど、「再エネの普及」と「廃棄物の増加」という社会課題の出現に対し、新たな再生循環型技術の創出が求められています。
風力発電事業におけるリプレイスなどの際に発生する廃棄ブレードは、ガラス繊維や炭素繊維を熱硬化性樹脂などで接着した複合構造を有しており、分離が難しく再利用が困難であるため、埋立や焼却処理などがその対策の主流であり、CO2排出や処理コストの観点からも大きな社会課題となっています。
■ 取り組みの特徴:廃棄ブレードから「電力」と「照明付きベンチ」を同時に創出
本プロジェクトでは、トライポッド・デザインが持つ「超小集電技術(MPC)」を活用した集電技術による照度センサー付き照明を加装。廃棄ブレードを再利用して制作したベンチ型アート作品に組み込みました。
①廃棄ブレードを構造材として活用
ブレードのもつ高い耐候性・強度をそのままベンチ素材へ転用。今後の産業廃棄物の“減量化”と“有価値化”を両立するモデルを志向しました。
②廃棄ブレードを活用した超小集電によるLED点灯(完全オフグリッド仕様)
内部に超小集電セル(電池)を搭載。集電用の電解質に粉砕した廃棄ブレードを活用した。この仕組みを応用することで、天候に左右されず、停電時にも利用できる自給自足型電力として、災害時などはもちろん、日常的にも人々の暮らしを支援する技術価値を提供します。
③アート・デザイン性と社会性の両立
“廃棄物×集電×公共空間”という新しいサステナブルデザインのモデルを創造。景観価値・社会啓発効果をもつアート作品として展示いたします。
■ 展示情報/イベント情報
本アート作品を展示すると共に、開発者、及び研究者による研究開発の意義や価値について評論解説する発表イベントを開催いたします。
開催日:2025年12月17日水曜日13:00~15:00(12:30 受付開始)
会場:東京都千代田区大手町1-1-2(3×3Lab Future)
ゲストには環境や社会デザインに携わる大学や研究機関の専門家にご登壇いただき、今回の廃棄ブレードによる開発事業に関して様々な視点で論評いただきます。
アクセスマップ:https://www.ecozzeria.jp/about/accessmap.html
※参加申し込みサイト https://forms.gle/H1L9a8br7a1KfpTg7
展示開始:2025年12月17日水曜日(料金:無料)※終了時期未定
■ 今後の展開
OGDは、本取り組みをきっかけとして、再生循環型社会の実現に向け、廃棄物を超小集電の技術により再び、新たなエネルギー資源へと変換する再生循環型開発モデルを創造すべく、超小集電の普及啓蒙に向けて情報発信を推進してまいります。
また、本テーマに限らず、オフグリッド・デザインコンソーシアム参加の各団体とも協力し、自立分散型エネルギー技術としての“超小集電”の発展による社会価値創出を進めていきます。
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標 7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
7.1 2030 年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。 7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 7.a 2030 年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。 7.b 2030 年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。