希少疾患を知るためのイベント
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米良美一がクリスマスイブに六本木で『ホワイトクリスマス』を歌う 希少疾患を知るためのイベント開催

2022年12月24日クリスマスイブに希少疾患を知るためのイベントが開催されました。ゲストはフリーアナウンサーの小島奈津子さんと歌手の米良美一さんです。SDGs fanはイベントの様子を取材してきましたのでご覧ください。

アストラゼネカグループの希少疾患部門アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズ(本部:米国マサチューセッツ州ボストン)の日本法人であるアレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都港区、社長:笠茂公弘)は、希少疾患と共に生きる患者さんについて理解を深めてもらう機会をつくることを目的に、 2022年12月24日(土)13:30~14:30、東京都港区のアーク・カラヤン広場にて、「希少疾患と社会、私たちが気づきあうためのヒント」をテーマにイベントを開催しました。

 

希少疾患に悩んでいる人が周りにいたらどのように接したら良いのか、または、実際の患者さんの立場である人は周囲にどんなことを求めているのか。今回は、実際に希少疾患の先天性骨形成不全症を患っている米良美一さんも出演され、「希少疾患の方々と共に生きる」ということについて“知るため”のトークが繰り広げられました。

 

SDGs fanは本イベントを取材してきたので、その模様をご覧頂きたいと思います。



冒頭では米良美一さんが登場しオープニングパフォーマンスとして『ホワイトクリスマス』を歌ってくれました。屋外のステージは少し寒かったですが、その寒さに丁度ピッタリの歌でした。今回のイベントは一般のお客様もいて、歌が終わると拍手喝采。

第一部は「日本がもっと気づきあえる社会になるために」として、蟹江憲史さんが登壇し、日本の今の社会と今後どうしたらいいのか、また、あまり見ないマークやサインに触れるという機会がありました。

イギリスの慈善団体が2010年から発表している『ワールド・ギビング・インデックス(世界寄付指数)』、いわゆる人助けランキング(「この1ヶ月の間に、見知らぬ人、あるいは、助けを必要としている見知らぬ人を助けたか」、「この1ヶ月の間に寄付をしたか」、「この1ヶ月の間にボランティアをしたか」という3項目で、2020年は114カ国12万1000人を対象に調査したランキング)がありますが、2020年のトップはインドネシア、日本は最下位という残念な結果に。これに対して蟹江さんは「実感としても、(周りで)人助けしているとか寄付をするとか聞かないですね。組織の一員として何かやる場合は“おもてなし”できますが、個人として行うとなってしまうと尻込みしてしまうのでは」と分析されました。

あまり世間では知られていないマークも紹介されました。代表的な3つのマークは次の通りです。

白杖SOSシグナル……視覚障害者の方が白杖を50cm以上高く掲げていたら支援を求めているサイン。

ヘルプマーク……病気を患っているなど支援を必要としている人が周囲に伝えるためのマーク。東日本大震災を機に作られました。

耳マーク……外見では分からない耳の不自由な方が自己表示をするために考案されたマーク。

 

また上記のマーク以外にも、世界共通の「助けて」というハンドサインが紹介されました。声に出して助けてと言えない状態の際に親指を曲げて手を広げ、その後グーにするというもの。

第二部では「どんな人が“助けを必要としている人”かもしれないのか?」というテーマで、関西電力病院特任院長、京都大学名誉教授、厚生労働省難病対策委員会委員長の千葉勉さんと、フリーアナウンサーの小島奈津子さんが登壇。

そもそも希少疾患とはそもそもどういったものなのか? 希少疾患と難病の定義について千葉さんは次のように挙げられました。

<難病>
発病の機構が明らかでない
治療法が確立されていない
希少な疾患
長期の療養が必要

 

<希少疾患>
患者数が50000人以下

指定難病は現在338疾患ですが、実際は1万くらいの希少疾患があるとのこと。また難病患者が抱える問題として、専門医が少ないこと、確定診断に時間がかかること、効果的な治療法がない(少ない)、などが挙げられます。そのほか就労の問題や社会の孤立という課題もあります。

ここで先天性骨形成不全症を患っている米良美一さんが登壇。千葉勉さん、小島奈津子さんに加わってお話しを訊くことになりました。

米良さんは冒頭で自身の病気について「この病気はまず身長が伸びない、ちょっとしたことで骨がボキっと折れて骨折を繰り返す。あと関節の障害で、足首とか膝が緩いんです。なので、ちょっとしたことで靱帯が切れたりします。」と私生活の大変さを語ってくれました。

千葉さんは「骨形成不全症は6年前の難病制度の指定難病の代表格の1つです。私も338疾患決めるときに医院長をしていました。」と骨形成不全症は指定難病に指定され、その中でも困難な病気だと説明。

米良さんによると「まだ歩けるだけマシで中には車椅子生活の人もいる。こうきらびやかな服を着られるのもいつまでか」と人によって症状は違い、中には車椅子生活するほど人もいるとのことです。

 

約15年前に骨形成不全症だったことを公表した米良さん。当時はSNSも今ほど普及しておらず、公表に踏み切るのに勇気が必要だったといいます。「目に見えない不安や『公表したら嫌われるんじゃないか』『芸能人として活躍出来ないんじゃないか』というネガティブな妄想に囚われていたんです。ですが無理をしていることが苦しくて、難しいことではありましたが、徐々に雪解けのように30代の時間すべてを使って、ありのままの自分を受け入れ、今では前向きに生きられるようになりました。」と、公表して良かったというお話も含めて、当事者の気持ちを丁寧に語ってくれました。

質疑応答の時間となったので、SDGs fanは以下の質問を投げかけてみました。質問内容とその回答をご覧ください。

記者 もしも周りに困っている方がいたら、どのように手を差し伸べたいですか。また、逆の立場の場合、どのように手を差し伸べてほしいのかを教えてください。

 

米良美一 私は力仕事もできないし、出来ることも限られているんですけど、いろんなところに慰問に行くと、音楽や歌を通して心のオアシスみたいになるっていうことをよくお聞きするんです。コロナ禍ではありますが、歌を聞いて少し涙を流していただく。私はそのような、歌で人を支える活動を行っています。

 

小島奈津子 私は、歳を取ってよかったと思うことがあって。1つは、誰にでも声がかけられるようになったことです。若い頃はちょっと恥ずかしくて、こういうこと言ったら断られるんじゃないかとか色々思いましたが、今はどこでも電車の中でも困っていたら『大丈夫ですか?電車降りる時に手を貸しましょうか?』と、素直に恥ずかしくなく言えるようになりました。あと、もう1つ。私は子育てをしてきまして、今までは人に「助けて」っていうのがちょっと恥ずかしかった部分もあります。でも、子供を育てていく中で、1人ではやっぱり子育てはできなくて「これお願いします」とか、ママ友に「今日はちょっとだけ見ていてくれる?」とか、この10何年でそういうことも言えるようになりました。こちらから声をあげるっていうことも学んできた1つなので、今回のことにも生かされるんじゃないかなと思っております。

 

イベントには多くの一般客が集まり興味津々で聞き入っていました。

今回のイベントでは、実際に希少疾患の患者さんでもある米良美一さんに、当事者としての声も聞ける非常に貴重な時間でした。

 

冒頭での米良美一さんの美声の歌声も非常に印象深く、会場の奥に置かれているクリスマスのイルミネーション「芽~MEBUKI~」と非常にマッチしていました。

【登壇者】歌手:米良美一さん、フリーアナウンサー 小島奈津子さん
関西電力病院特任院長、京都大学名誉教授、厚生労働省難病対策委員会委員長 千葉 勉先生
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 蟹江憲史先生

SDGs目標3は「すべての人に健康と福祉を」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?



国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
3.1 2030 年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10 万人当たり70 人未満に削減する。
3.2 すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000 件中12 件以下 まで減らし、5 歳以下死亡率を少なくとも出生1,000 件中25 件以下まで減らすことを目指し、2030 年までに、新生児及び5 歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.3 2030 年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.4 2030 年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3 分の1 減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
3.6 2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
3.7 2030 年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスをすべての人々が利用できるようにする。
3.8 すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・ カバレッジ(UHC)を達成する。
3.9 2030 年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
3.a すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定 (TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
3.c 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
3.d すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。